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2014/11/8 更新してないねぇー ねたはあるんだけどね
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呂布
最近気づいたのだが、仕事帰りの電車で椅子に座れるかどうかというのは、わりと深刻な問題だ。
乗り込んだ駅から座ることができればまさに天国で、その後の移動時間を有意義に使うことができる。
(具体的には、寝る、読書する、放心する、携帯を弄ぶなど)
しかし、座れなかった場合は地獄である。
立ったまま眠ることはできないので、せいぜい、読書する、放心する、携帯を弄ぶ、ことくらいしかできない。
なによりあのすし詰め状態というのは、体力だけでなく、精神的にかなりの消耗を強いられる。
移動が長時間に及ぶ場合など、生きる力を挫かれかねないほどだ。

以前はこの椅子取りゲームに必死になっているサラリーマンたちを見て、なんて心の小さな生き物たちだろう、と憐れに思っていたものだが、今や私もすっかりそんな憐れな生き物たちのお仲間である。
電車がホームに到着してドアが開くなり、もの凄い勢いで突進してみたり、たとえ乗り込んだ駅で座ることができなくても、数駅先で降りそうな客に目星をつけて、その正面に陣取ってみたりと、虎視眈々、まったく涙ぐましい努力を続けている。
ときどきそんなせせこましい自分が嫌になることもあるが、しかし、まわりの人々も同じように座ることばかり考えていると思うと、憎しみにも似た暗い闘志が込み上げてくる。
帰宅時間の満員電車はエゴイストどもが跋扈する殺伐とした異世界で、ここで生き残るためには、下手な気遣いや思いやりは不要だ。
そうだ。どうせみんな座ることしか考えていないのだ。

さて、そんな殺伐とした椅子取りゲームに明け暮れていたある日、満員電車に乗り込んだ私は、幸運にも空席をひとつ発見した。
なんという奇跡!
その日はほとんど最後尾から乗り込んだため、座れる可能性など万に一つも期待していなかったのだが、サラリーマンたちの間にギリギリ一人分のスペースがあるではないか。
ああ。
その僅かな隙間こそ、砂漠のオアシス、地獄に垂らされた蜘蛛の糸、あるいは一本の葱。
周囲の亡者どもが見過ごしているのが少々気になったものの、すでにエゴの塊と化している私には関係ない。
ラッキー! とばかりに、腰を下ろした。
するとどうだろう。

……狭い。
いや、
ていうか狭すぎるだろ、これ。
どうやら目算を誤ったらしい。
無理矢理尻をねじ込んで座ったは良いが、あまりの狭さに尻がシートの半分より奥に納まらず、背中が背もたれに届かない。
普通ならここで、列が少しずれてスペースを作ってくれるものだが、何故かそんな気配は少しもない。
これは非常に惨めな格好である。
背もたれのない丸椅子に半分だけ尻を据えて、ちょこんと乗っかっているような状態だ。
おりしも電車は満員。
完全にシートに納まりきれていない私の膝は、半歩座席から前に飛び出していて、もの凄く邪魔な存在になっている。
正面に立ったOLが怪訝そうに私の飛び出した膝を眺めている。
当然だろう。
きっと傍から見たら、私は強引に狭い空間に割り込んだ迷惑な男なのだ。

しかし何故だ。
何故こんなことになった?
最初に確認したときは確かに一人分のスペースが空いていたはずなのに!
咄嗟に周囲を見回して理解した。
その座席シートに座っていたのは、皆、恰幅の良いおっさんばかりだった。
恰幅の良いおっさんばかりがずらっと並んでいるものだから、残されていた僅かな隙間は1人分ではなく
実質2/3人分くらいになっていたのだ。
ああ、何という不覚!

この中途半端な状況は30分ほど続いた。
開き直って強引に尻をねじ込もうと試みたが、おっさんたちは揺るがない。
すでにみつしりと充満しているのだ。
背もたれに届かないので眠ることもできず、本を読もうにも飛び出していて邪魔なので、それもままならず、と言って今さら立ち上がるのも無性に気まずく……
ああもう。
こんなことなら座らなきゃよかった。
立つも地獄、座るも地獄。
通勤電車は修羅の道だよまったくもう。
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