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2014/11/8 更新してないねぇー ねたはあるんだけどね
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涼秋の職人達
相変わらず仕事三昧の日々を過ごしている。
会社で過ごすうちの、昼休みの一時間というものはとても貴重な時間である。
俺は昼食後の約40分間は、惜しみなく昼寝のために消費するよう、普段から心がけている。
しかし、ある日の昼休み明け、事件が発生した。

「新人のF。Fはいるか」
「はーい。お呼びですかー?類二さん」
「いい返事だ。今、仕事忙しいか?」
「今私のチームが作ってるシステムは来月運用開始予定なんですよ。今は試験段階だからめっちゃ忙しいんですぅ」
「そうか。新人のわりに、もう一丁前に仕事をこなしていると見える。やはり後輩Kのチームに入れて正解だったようだ」
「研修のとき、類二さんが親身になって教えてくれたからですよぅ。とっても感謝してます」
「忙しいところ悪いが、一生のお願いだ。俺の悩みを聞いてくれ」
「きゃあきゃあ。憧れの類二さんが私に相談してくれるなんて。感激ですわ」
「うむ。さすがは俺の後輩」
「類二さんの悩みで私に解決できることなんてあるのかしら。どきどき。何でしょうか」
「よし、では単刀直入に言うぞ。メガネが壊れた」

「はあ。それが何か」
「どうにかしてくれ」
「私がですか」
「そうだ」
「なぜ私が」
「お前、メガネっ娘だろうが」
「やだー。メガネっ娘だなんて、恥ずかしいんでやめてください。私、もう10万22歳ですよぅ」
「お前はデーモン小暮閣下か。ともかく、なんとかならないか」
「メガネ屋さんに行ったらいいんじゃないですか」
「そうはいかん。後輩Fよ。俺の視力を知っているか」
「いえ、残念ながら」
「両目とも0.1前後だ。こんな俺がメガネ無し状態で街を歩いてメガネ屋に行けると思うか?」
「モノはためしですよ。何事も挑戦しなければ結果は生まれません」
「なかなかいい事を言うな。だがしかし、メガネ屋と間違えて牛丼屋に入ってしまったらどうする」
「迷わず大盛りと卵と味噌汁をテイクアウトするしかないですね」
「そうだろう。今日の昼飯で吉野家に行ってきたばかりだ。一日に二度も牛丼屋に行くような愚は避けねばならない」
「その理論で行くと、間違って不動産屋なんかに行ったらえらい事になりそうですね」
「そうだ。迷わずマンションを一棟テイクアウトせねばならなくなるだろう」
「おちおち外も歩けないというわけですか。困っちゃいましたね」
「その通り。家に帰ることすらままならぬ。だから何としても今ここでメガネを直さねば、俺に未来は無いのだ」
「家に帰ったところで、奥さんの尻に敷かれる未来が待っているだけじゃないですか」
「鋭いな。まさしくその通りだ。何一つ言い返せない」

「建設的な話に戻しましょう。どう壊れたんですか。類二さんのメガネ」
「いい質問だ。よく聞いてくれた。鼻に当てるところが取れてしまい、フレームがひしゃげている。レンズはかすり傷程度でなんとか無事だ。ほれ、この通り」
「うわー。これはまた見事な壊れっぷりですねぇ。引くわこれ」
「ん。何か言ったか」
「いえ。それにしてもこれ、誰かが踏みつけたとしか思えないですね」
「俺もその結論に達したところだ。犯人の見当は既についている」
「さすが名探偵類田一さんですね。犯人は誰ですか」
「いや、今犯人を糾弾したところで、メガネが直るものでもない。今、早急になすべき事は、メガネの修理だ」
「予備のメガネは持ってないんですか?」
「予備だと。そんなものは無い。日本男子たるもの、宵越しのメガネなんぞ持つわけにはいかんのだ」
「えっ。ぷぷっ。まさか類二さん、メガネひとつしかないんですか。やだ信じられない」
「なぜ笑う。現代の日本においてはメガネがひとつしかない事が嘲笑に値するとでも言うのか」
「だって最近はメガネすっごい安いし、かわいいフレームがあるとつい買っちゃうじゃないですかぁ」
「何と。昨今のメガネは衝動買いの対象なのか。知らなかった」
「だから、普通の人ならいくつもメガネがあって、その日の気分でつけかえたりするのが当たり前ですよ」
「俺は気分などでメガネを取り替えるような軟弱者ではない。ということにしておいてくれ」
「意味が全然分かりませんが、分かりました。ではどうしてもこれを直さないといけないんですね」
「そうだ。Fよ。特命だ。やってくれるか」
「わかりました。類二さんのために、喜んで直しまーす」

「どうだ。直ったか」
「はい。類二さん、私、仕事そっちのけで類二さんのためにメガネ直しました」
「よし。さすがは俺の後輩だ。今度類二菊花章なる勲章を授ける。どれ、見せてみろ」
「どうぞ。私の渾身の一撃の成果です」
「あっ。なんだこれ。さっきよりひどくなってるじゃないか。どういうことだ」
「決まってるじゃないですか。私が渾身の一撃を加えたからですよう」
「なぜだ。なぜこんな事をする」
「だいたい後輩かつ女の私に修理を依頼するなんて、よく考えたらパワハラ&セクハラのコンボ攻撃だなーと思っちゃいまして。てへ」
「満面の笑顔で言うな。お前が信頼に足る人物だと思ったから依頼しただけだ。セクハラパワハラなど、いいがかりもいいとこだ」
「ともかく、うまく直せないんで、こうなったら思い切って再起不能にしちゃおうかと」
「ひどい。これがなければ、俺の目は33のままだ。のび太状態だ。どうしてくれる」
「あっ類二さん。口まで3になってますよ。文句を言ってるときののび太にそっくりです。今日から類二さんの事、のび太って呼びますね」
「仮にも先輩だぞ俺は。人のメガネを壊しておいてよくそんな事が言えるな」
「だって元々壊れてたじゃないですか。ていうか、このメガネ壊した犯人って、のび太でしょう」
「のび太呼ばわりの上、呼び捨てか。それにしてもよく俺が犯人だとわかったな」
「おおかた、昼休みのときにメガネはずしてぐうぐう昼寝して、いつのまにかメガネが机から落ちてて、起きたときに誤って踏みつけたとか、そんなとこでしょう」
「その通りすぎてぐうの音も出ない。よくぞ見破った」
「ああ楽しかった。では私仕事に戻りますんでそれじゃ」
「なんて奴だ。叙勲は取り消しだ。こんな小娘に任せたのが失敗だった」

しかたなく、フレームからレンズを取り外し、棒をくっつけて手で持って、虫眼鏡の要領でレンズ越しの世界を見ながら帰宅した。
comments(1)
Thank you for helping out, excellent info. “Riches cover a multitude of woes.” by Menander.
| Jamison | 2014/06/28 5:25 PM |










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