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2014/11/8 更新してないねぇー ねたはあるんだけどね
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約束の地
おれは将来有望な若手SEだ。
今日は客先へ、自分が手がけたシステムをメンテナンスしに行く日だ。

急に便意をもよおした。
某地下鉄駅で電車から降りた瞬間のことだ。

おれは焦った。
油断していた。かなりの不意打ちだ。
『大』の方面に向かって、波はやってくる。
しかも迫っているのはかなりの大物とみた。
その波は、近年まれにみるほどの
ビッグウェーブとなって、一気に尻に押し寄せてくる。
一刻の猶予も許されない状態だ。
すぐにトイレを探さなければならない。

しかし、おれは社内でも将来有望な若手SEある。
バシっとスーツを身にまとい、手で尻を押さえて
小走りでトイレに駆け込む姿など、たとえ赤の他人で
あっても見られたくはない。
おれにもプライドがある。
こんなときでも顔は平常を装うことを忘れてはならない。

それにしても、一体何が原因だ?
ランチで食べた寿司でも当たったか。
それとも朝食のシリアルにかけた牛乳が賞味期限切れだったか。

混雑している地下鉄駅のホームを、
とりあえずエスカレータに向かって歩きながら、
おれは自分の持てる集中力の50%を尻に力を入れることに使った。
残りの50%で、自慢の頭脳をフル回転させることにした。

まずは、トイレを探すことだ。
この駅に関する情報を、脳から検索し、「トイレ」で絞り込む。

脳内検索の結果、この駅には、
今向かっている先にあるエスカレータを上らずに、
さらに歩いてホームの端まで行けば、トイレがあることが判った。
(正確に言うと、思い出した)

トイレがあることさえ判れば、非常事態とはいえ、
必要以上に慌てることはない。
落ち着いて、なるべく尻に振動を与えないように心がける。

サラリーマンとして培ってきた早足で、
エスカレータへ向かう人波を縫い、トイレへ向かう。

エスカレータのある場所を過ぎれば、邪魔な人はいなくなった。
ホームの先にトイレのマークを確認した。
あとは一直線だ。

トイレの「大」が空いていることを祈りながら足早に歩く。
地下鉄特有の蒸すような空気もあってか、
冬だというのに額にはうっすらと汗がにじんできたようだ。

トイレに到着。地下鉄駅のトイレのため薄汚く、
普段だったら使う気になれないような環境だが、
この際仕方がない。

「大」の個室は2箇所。
しかし2箇所とも、使用中を示す赤い色が
ドアノブに表示されていた。
最悪の事態だ。

あわててはいけない。
自分と、自分の尻を落ち着かせる。
大の波は予想以上に大きく、尻の防波堤は既に限界を超えている。
おれは尻に割り当てる力を80%に増加させ、
必死で波を食い止めつつ、個室が空くのを待っていた。

幸運にも、1箇所の個室がすぐに空いた。
助かった。
しかし、前の人と入れ違いに個室に入ろうとした、そのときである。

・・・紙がない!

都会の地下鉄のトイレは、基本的に紙がないのである。
尻に力を入れすぎたあまり、思考能力が低下し、すっかり
そのことを忘れてしまっていた。

紙がないとはいえ、トイレの入り口には紙の自動販売機がある。
慌てるな。紙がなければ買えばいいだけのことだ。
財布を取り出して紙を買う時間ぐらい、尻は持ってくれるはずだ。

しかし、追い討ちをかけるように新たな事実を
思い出してしまった。
小銭を持っていないのである。

紙の自動販売機は100円硬貨専用である。
100円玉は、先ほどタバコを買う際にすべて使ってしまっていた。
財布の中身を確認しなくてもわかる。

おれは必死に考えた。
尻に力を80%を使っているため、思考能力は
平常時の20%まで低下している。
それでも、何とかこの状況から脱する策を見つけなければならない。

思考をめぐらしているうちに、一つの記憶を呼び起こすことに成功した。

この地下鉄駅は、大手デパートと直結しているのである!

なぜこんな簡単なことが判らなかったのだろうか。
デパートのトイレならば紙は常備されているし、
掃除も行き届いていて非常に清潔だ。
ウォシュレット付きの洋式便器にありつける可能性もある。

おれは即座にデパートへ向かうことにした。
デパートは、エスカレータを上って改札を抜ければすぐそこだ。

しかし、歩いてほんの数分の距離の、なんと遠いことか。
波の勢いはさらに増し、今にも外界へ飛び出さんばかりの
勢いで尻の堤防を破りにかかってくる。
こんなときのために、もっと括約筋を鍛えておくべきだった。

エスカレータを上ったあたりまではなんとか
平常を保つことができていたが、
デパートに入ってからは気が気ではなかった。

デパートに入る際に、横目でフロア案内板を確認する。
幸いトイレの場所はすぐ判明した。

トイレまで最短距離で行くには、女性下着売り場を横切る必要がある。
しかし、今はプライドなど気にしている場合ではない。
小さなものを気にするあまり、
より大きなものを失ってしまう可能性すらある状況だ。

顔には玉のような汗が浮かぶ。歯を食いしばる。
尻に力を入れているため、やや不自然な格好で
トイレに向かって歩いていたが、一歩歩くごとに振動が尻に響く。
波の勢いはとどまることを知らない。
堤防はもはや決壊寸前だ。

女性客や店員の視線が突き刺さるように感じるが、
構っていられない。きっと錯覚だ。
おれが今、目指すものはただひとつ。
目的の場所に向かって、一歩づつ、歩いていく。
確実に距離は縮まっている。

やがて、トイレが見えた。
間一髪、助かったか・・・。
そう思ったのだが、現実はそう甘くなかった。

この階には女子トイレしかないのである!

おれは自分の運の悪さを心の底から呪いつつ、
もはや停止状態に近い自分の頭脳を無理やり回転させる。
今や尻を押さえることに100%の力を割り当てているため、
ほとんど何も考えることができない。
それでも、おれはトイレを探さなければならない。
女性用トイレに入ることだけは絶対にできないのだ。
男には、たとえすべてを失おうとも、守らなければならないものがある。

やがて、ひとつの結論に達した。

この階のトイレが女性用しかないのであれば、
次の階なら男性用トイレがあるのではないか?
デパートなどの大型商店にはよくある仕様ではないか。
なぜすぐにそのことに気付かなかったのだ。
悶絶の表情を浮かべながら、
女性下着売り場と女性用トイレの間をうろうろしている場合などではない。

ではさっそく次の階へ・・・。

しかし、即座には動けなかった。
行き当たりばったりで行動しては、また失敗する可能性があったからだ。

どうやって行けばいい?
ここからならば、階段がすぐそこにある。
その階段を使い、上の階まで上りさえすれば、
男性用トイレはおそらく目の前にあるはずだ。
しかし、おれの尻が、階段を上ることにより発生する
強大な振動に耐え切れるのだろうか?
それに、階段を一段上るためには、足をおおきく開かなければならない。
尻の防御力が大幅に低下することは確実だ。

エスカレータで上の階まで行くルートならば、
少なくとも振動は極力抑えることが可能なはずだ。
しかしその際ネックとなるのが、距離と時間の問題だ。
ここから再びエスカレータの場所まで下着売り場の
真ん中を通り、エスカレータで上の階まで上がり、
そこからまた、だいぶ歩かなければ
トイレまでたどり着けないだろう。
これでは時間がかかりすぎないか・・・?
だが、これなら尻のガードを100%に保ったまま、
小刻みの歩幅で歩けば何とかなりそうな気がする。

ガードを緩くして最短距離を取るか、それとも
ガードは最強にして遠回りルートを取るか・・・。

ほんの一瞬以下の時間であったはずだが、おれは
十分に逡巡、検討、シミュレートした結果、
最短距離である階段を使って上の階まで上がるルートを
選択することを決断した。

平日とはいえ都心のデパートは人が多い。
だが階段を使用する人は少ないと思われるため、
他人の好奇の目に晒される危険が少ないという、
わずかに残っていたプライドが
この選択を決定したといえる。それに、
上体を反らし気味にし、尻の筋肉を引き締めながら
内股で歩く姿を、もうこれ以上人目に晒すわけにはいかなかったし、
最悪の最悪、尻の堤防が決壊してしまった場合でも、
売り場の真ん中やエスカレータ上でやってしまうよりは、
あまり使われていない階段のほうが、多少なりとも
被害(他人や器物に与える被害も含めて)は抑えられるだろう。
(この場合、どちらにしてもその後の人生に多大な影響が
発生するのは間違いないが)
そうした総合的な判断の結果である。

意を決し、階段を一歩ずつ上がっていく。
筋肉をフルにして尻を引き締めながら階段を上がるのはやはり難しい。
これでは時間がかかりすぎる。

ここは一気に勝負を決めるしかない。

おれは尻の筋肉が緩くなるのを覚悟しつつ、大技中の大技である
階段2段飛ばしを試みることにした。

2段飛ばしで5〜6歩行けば踊り場までたどり着くだろう。

一歩上るごとに、屁が出る。やはり振動が大きすぎるのだ。
しかし、もはや屁などに構ってなどいられない。

あと少し。
楽園まで、距離にして数メートル、歩数にして20歩程度だ。

あと20歩だけでいい。
おれの尻よ。頑張ってくれ。持ちこたえてくれ。

なんとか踊り場までたどり着いた。階段はあと半分。
デパートの階段など、客は使わないと思っていたが、
以外にも利用する人の数は多いようだ。
明らかにおれの尻から発せられる屁の音と匂いで、
もうすっかり不審者扱いだ。

OK。それでいい。ギャラリーは多いほど燃えるタイプだ。
もはやおれの目には、周りは見えない。何も聞こえない。
五感すらも断ち切って、すべての力を尻に使っているのだから。

意を決して、階段の後半戦に挑む。
無理な体勢で無理な運動をしているため、
息が切れそうだ。喉が渇く。汗が止まらない。

ようやく階段を上り切った。
しかし、それと同時に、最後の屁まで出てしまった。
尻のオペレータがそう報告してくるのがわかる。
あわてて括約筋に力を入れ直す。
次に尻に大きな振動を与えた場合、屁などという
生易しいものではなく、いよいよ本体が登場してしまうというわけだ。

しかし、安心しろ、おれ。
トイレは目の前に見えている。
安寧の地。約束の場所。おれが求めつづけていたただひとつの
ものが、そこにはあるのだ。

もうプライドもすべて捨て去った。
今は自分の両手で、尻の筋肉と共に全力で波を抑えている。
だれがどう見ても、『トイレに行きたくて最強にテンパっている人の図』だ。
だが慌てるな。
あと少しだ・・・。

トイレにたどり着いた。
もちろん男性用のトイレだ。

個室は1箇所。
ドアノブの状態を確認する。

・・・使用中を示す赤い色。
もうだめか。
小便器でしてしまうしかないのか。
そう思った瞬間だった。

ドアの向こうから水の流れる音が聞こえ、
ほどなくしてノブの色が青に変わり、ドアが開き、中からおっさんが出てきた。

神よ!

入れ違いで個室に入る。
思ったとおり、洋式の便器だった。
やはり地下鉄駅のトイレなどとは違い、掃除が行き届いている。
残念ながらウォシュレット付きではなかったが、
紙も予備が二個分あり、余裕の大容量だ。
おれが大をするにはふさわしい場所と言える。

ズボンをおろし、まだなまあたたかい、おっさんの
ぬくもりが残る便器に座る。
そして、今まで酷使し続けてきた尻の筋肉を一気に緩めた。

我先に、と次から次へ波はあふれ出てきた。
あわてなくていい。お前たち。
お前たちが皆外に出るまで、おれはここでじっとしていてやる。
今まで我慢させてしまって、申し訳なかったな・・・。

そう思い、今まで耐えてくれた尻と、「波」たちに
感謝しつつ、一息ついた。
それにしても、決して大きいわけではないおれのからだのどこに
こんな奴らが格納されていたのだろう。
そう思えるほどの放出量だ。この後体重を量ったら、きっと3キロは
減っているに違いない。

そのとき、空気に異変を感じた。

それまでおれの体は極限状態にあったため気付かなかったのだが、
この個室、かなり臭い。強烈な臭気を放っているではないか。

もちろん、自分の尻から発せられる、嗅ぎなれた臭さではない。
非常に不快な、他人の「大」の臭さなのである。

おそらくは、入れ違いに出て行ったおっさんの大の臭いだろう。
こんな臭さ、生まれて初めてとも言えるほどだ。
生死にかかわるほどの悪臭だ。さらに、慣れているはずの
自分の大の臭いまで加わって、さらに攻撃力が増している。
このままでは耐え切れない。
果たしてここは天国なのか地獄なのか。
一難去ってまた一難。
とりあえず、一瞬息を止めて、今後の対策を考えることにした。

口で息をすれば、臭いは感じなくなるだろう。
しかし、他人の大の残り香を口いっぱいに吸い込むことには抵抗がある。
しかし、鼻で息をしたところで、その臭気を思い切り
味わってしまうことになる。
しかも、おれの「大」の勢いはとどまることを知らずに
とめどなく放出されつづけている。
今から別の場所のトイレに向かうのは困難だろう。

このままでは八方塞がりだ。四面楚歌とはこのことか。

しかしおれの体は、さっきまでの戦いで
パワーを使い果たしてしまっていたため、
酸素が欠乏している。これ以上息を止めていられない。
今日は無事にトイレにたどり着けただけでもよしとするべきだろう。
トイレが臭いことなど、大した問題ではない・・・。
そう思うしかなかった。

おれは観念し、息を吐いた。
そして、苦しい肺に空気を送り込むため、
その個室に残る臭気をすべて受け止めるがごとく、
口と鼻で大きく息を吸い込んだ。

おれはその後、客先に行くことができず、
体調不良を理由に家まで直帰した。
comments(5)
おもしろかったですー(#^.^#)
毎回楽しみにしています。

似たような経験をしたことあります
最悪なとき最悪が重なるのはなぜなんでしょうか?
不思議ですww
| むくちん | 2006/12/21 3:21 PM |
毎度どうもです
グダグダな文章ばかりで申し訳ない

>最悪なとき最悪が重なるのはなぜなんでしょうか?

ほんとだよね
何者かの陰謀を感じずにはいられません
| 類二 | 2006/12/23 12:32 PM |
類二さんの小話を聞くと髪が尖る。

だからなんだ?
| スネ夫 | 2006/12/24 9:38 PM |
パルテノン整髪料と改名しようか
| 類二 | 2006/12/25 9:56 PM |
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