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2014/11/8 更新してないねぇー ねたはあるんだけどね
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愛は光の果てに
Yは不安だった。
水曜の午後、職場の付近でSを見かけたからだ。
いや、見かけたから不安になったわけではない。
同じ街に住んでいるのだから、
ばったり出くわすことは、そう珍しいことでもないのだ。
事実、数ヶ月に一度くらいはそういう機会もあったから、
そのときもYは、いつもと変わらない調子でSに
声をかけようとしていた。
ところが、Yはすぐに、Sの挙動がおかしいことに気がついた。
Sはもともとが用心深い性格で、
常にあたりの様子を気にしているようなところがあったのだが、
そのときの行動は尋常ではないように思えた。
Yは好奇心に手足の生えたような人間だったから、
咄嗟に看板の後ろに身を隠してSの様子をうかがった。
Sはせわしなく首を左右に動かし、
辺りを見回しているようだったが、
しばらくすると小走りにその場を離れた。
ある程度の距離を保ちながら、YがSの後をつけていくと、
人気のない小道の奥で、忽然とSの姿が壁の中に消えた。
Yが急いで駆け寄ると、そこには、人一人がようやく
通り抜けられるくらいの狭い道が続いていた。
Yは少し躊躇ったが、注意深く奥へと進んだ。
高い壁に囲まれた小道は薄暗く、Sの姿は見えなかった。
嫌な予感を覚えながらも足を進めるうち、
少し奥の角の先が明るくなっていることに気がついた。
Yは小走りに進み、そして、角の手前で立ち止まった。
向こうから、人の話し声が聞こえたのだ。
壁に張り付くようにして身を潜め、様子をうかがうと、
そこはちょっとした空き地になっているようで、
中心にSともう一人、別の誰かが立っていた。
何ごとか、小声で真剣に話し合っているようである。
Yは静かに身をかがめ、Sの密会の相手をのぞき見て、
動揺した。
Sと深刻そうに向き合っていたのは、他ならぬ、
Uだったのである。
Yは握ったこぶしの奥がじっとりと湿っていることに気がついた。
UはEのかけがえのない人であると同時に、Nとは同族の縁である。
Eというのは、Yにとって尊敬の対象となるだけでなく、
一生かけても返せない恩義があるとさえ感じている人物でもある。
それはEと同郷であるSにとっては尚更であろうと、Yは信じていた。
しかし、SがUと、このようにこっそり会っているということは、
それは、つまりEに対する完全な裏切りであるし、
ひいてはSが不倶戴天の敵と公言してやまないNと、
半ば二人三脚でここまで来たEとの関係を、
あえなく破綻させるきっかけともなりかねない。
まして、Iなどは言うに及ばないのだ。
───と、Yの足下でカランと乾いた音が響いた。
信じがたい光景に足が震え、転がっていた空き缶を蹴ってしまったのだ。
Yは心臓が止まるかと思うほどに驚き、小指の先まで硬直した。
もしも、この密会をYが目撃したことを知れば、
Sはどんな行動に出るか予測がつかない。
Yが消されるだけならばまだましともいえる。
Sの保護者でもあるあのGなどが出張ってくれば、
ことは複雑になりすぎる。
Gの子息はNの一族によって殺されたようなものであるから、
Gがこの機を逃すはずもなく、
おびただしい量の血が流れることはまず間違いない。
もはや、Y一人にどうにか出来る事態ではなくなっていた。
逃げるしかないと、Yがぎこちなく身体をひねったとき、
空き地の奥から、待たせたなと、野太い声が響いた。
すると、間髪入れずSとUの悲鳴にも近い歓声が上がり、
豪快な笑い声が続いた。
Yはしばらく動けずにいたが、三人が他愛もない雑談をはじめると、
ほっと胸をなで下ろした。
どうやらYの存在は気づかれてはいないようだった。
しかし、新たに現れた人物の声に聞き覚えのあることに思い当たり、
Yは戦慄した。
その声の主は、なんとOだったのである。
あまりに理解しがたいこの状況に、Yの頭脳はショート寸前だった。
なぜOがここにいるのだ。
Oといえば、Gの腹心中の腹心であり、Eの親友でもある。
SがOを快く思っていないのは、もはや周知のことであり、
それはOも同様、いや、それ以上のはずである。
何より、SとOは血液的も星座的にも非常に相性がよくない。
まして、UなどはおそらくGにとっては息子の仇であり、
たしかNの同族なのだから、Oと笑顔で会話するなどということは、
やはり、Yには得心がいかない。
そもそもYは、Uの娘であるJに、ほのかな想いを寄せており、
SやOなどが軽々しくUに話しかけることこそが、
何より許せないことなのである。
もちろん、Iなどは言うに及ばない。
パン、と、何かが弾けるような音がして、
Uが地面に倒れたのは、そのすぐあとだった。
混乱し、遠巻きに眺めていたYは、そのとき何が起きたのか
瞬時に理解することが出来なかった。
恐ろしい叫び声をあげながら、
Nの側近であるPが空き地に乱入したことにより、
事態はより混迷を極めた。
Oが怒鳴り散らしながらSに殴りかかると、
今度はPがOに発砲した。そう、Pは右手に拳銃を握っていたのだ。
そして、Sが倒れたUを庇うように覆い被さるのと、
YがOとPとの間に飛び出すのとはほとんど同時だった。
二発の銃弾がYの頬をかすめ、しゃがんだSの眉間に見事に命中した。
Pは事を為し遂げたのか、そうではないのか、
どちらともつかない微妙な表情を浮かべてYを見つめたが、
その胸からは大量の血が流れていた。
血にまみれた大振りのナイフをPの胸から抜き取ったOは、
不適な笑みを浮かべた。
しかし、その顔からは血の気が失せており、
やがて膝をガクガクと震わすと、白目をむいて崩れ落ちた。
惨劇に巻き込まれたYは、なぜ自分が生きているのは理解できず、
ただただ放心していたが、かすかに動くものを目にして我に返った。
眉間を貫かれたはずのSがかすかに口を動かしていたのだ。
Sがもう助からないことは明らかだった。
しかし、YはSにどうしても聞かねばならないことがあった。
どうしてこんな事になったのだ?
Sにその言葉が届いたかどうか、定かではない。
しかし、Sは最後の力を振り絞るようにして囁いた。
目の前にいるのが誰なのかさえわからない様子だったが、
Sは、うつろな目に涙を浮かべ、弱々しい声を上げた。
YはそのSの最後の言葉を確かに聞いたのだ。
「わ、わたしは、もうダメ、みたい・・・お願い、Yを・・
いえ、Y′を・・たす、ケ・・・テ・・」
Sが絶命する間際、Yは狂わんばかりに絶叫していた。
「Y′って、誰だ────ッ!!!!」

あとは、ただただ、Iの天下である。


というような物語を、是非、非常に右脳の発達した、
速読を得意とする子供に速読してもらいたいものだ。
そして、俺にもわかるように説明してほしい。
comments(1)
Hey site owner, thank you very much for providing this article… I found it great. Sincerely, Samantha F.!
| Lauren | 2014/06/27 4:12 PM |










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