<< April 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
PROFILE
↑メールなどはこちら

<近況>
2014/11/8 更新してないねぇー ねたはあるんだけどね
SELECTED ENTRIES
ARCHIVES
RECENT COMMENTS
LINKS
WARAWARA
友人Yの誕生日が近いらしい。
そんな情報をたまたま入手した。

俺は他人の誕生日など、まったく気にしたことがない。どうでもいいと思っている。
自分の誕生日もそう。人から言われるまで意識してなかったりする。

きっと友人Yも、自分の誕生日なんてぜ〜んぜん意識せずに、普通の日として過ごすはずだ。男の一人暮らしだし。

しかし・・・いや、だからこそ、ちょっと驚かせてみようではないか。
普段、人の誕生日なんてまったく気にしない俺が、自分の誕生日をまったく気にしない友人Yに、突然プレゼントをやってみたらどうだろう。

これは、びっくりすることうけあいである。
絶対面白いはずである。
もちろん、ありきたりなプレゼントじゃ物足りない。
とんでもないものをくれてやらないと面白くない。

そこで、去年買ったばかりのマンション(703号室、4LDK)をあげることにした。
これなら、いくらなんでもびっくりするだろう。

いやいや、ただマンションをあげるだけでは面白くない。
改造しよう。そうしよう。改造してからプレゼントしよう。

せっかくの新築マンションなんだから、連日のように知り合いをいっぱい呼んで、わいわい盛り上がって楽しんでほしい。
そんな願いを込めたプレゼントだから、居酒屋風にしてあげよう。具体的には笑笑風に改造しよう。

どうせ笑笑風にするんだったらちゃんと店員を入れて、お金とって、営業できるようにしよう。
だからもう笑笑風じゃなくて笑笑(笑)。

あとは、そうだ。オープンカフェ風にしよう。
窓側の窓と壁を全部取り払おう。雰囲気でるなあ。7階だから眺めも最高だ。
角部屋じゃないのがちょっと残念。

ただ、占有面積が70屬曚匹靴ないから、普通の部屋はつくれない。
リビングとかダイニング、寝室も全部なくなってしまうけど仕方ない。
だから、改造した後の部屋(703号室、1WRWR)は、玄関開けたらもう笑笑の客席。

友人Yの喜ぶ顔が目に浮かぶようだ。

友人Yの誕生日当日、俺は満を持して友人Yを呼んだ。
「誕生日おめでとう。これ、受け取ってよ」
703号室のキーを、友人Yに渡した。
案の定、友人Yはびっくりしていた。

俺と嫁T氏は帰るところを失ってしまい、途方にくれてしまったけど、友人Yを喜ばせるためだ。
俺たちの家なんて、友人Yの幸せに比べたらちっぽけなものだ。

俺たちはマンションを出て、外から703号室を見た。
友人Yの部屋(オープンカフェ風笑笑)が丸見えだ。

友人Yは、12人ほどが座れるような大きな卓の席(座敷)に、丸くて薄い、くたびれた座布団を敷き、その上に正座で座って、とても困っていた。
という夢を見た。
comments(1)
見つめるホイミスライム’s eye
人間が好む愛玩動物として、もっともポピュラーなのは、やはり猫であろう。

体つきや毛並み、顔などが愛らしいのはもちろんのこと、飼い主との付かず離れずの関係や、芸を覚えることもなく特に飼い主が散歩に連れて行く必要もなく、それほど手のかからない動物であることが人気の秘訣だろうか。
猫が家にいるというだけで癒されるものである。

しかし、個人的には猫などよりももっとかわいい動物がいる、と断言する。
それは、なんといってもホイミスライムである。
まんじゅうのような形をした青くつやつやな頭部。
そこからダイレクトに生えている黄色い無数の足は、イソギンチャクをさかさまにしたようなふわふわな感じである。
顔はスマイルを見せるタイガーウッズから眉と鼻と白い歯をなくしたようなものだと思えばよい。基本的に笑い顔であるが、そこから表情が変化することはない。無表情なのである。
クラゲの如くゆらゆらと、海ではなく空中に浮かんで移動する。
そして、なんといっても人の傷を癒すことのできる「ホイミ」という呪文を使えること。うれしいことに、MP(ホイミの使用限度)は無限といって良い。
猫は100年生きると妖術を使うらしいが、ホイミスライムは素で呪文が使えて幸せだ。

ホイミスライムさえいれば、名実ともに癒されることが可能である。
なぜ人間は、この動物を飼おうとしないのだろうか。
もし私がホイミスライムを開発することができたならば、全世界の猫をホイミスライムに置換してやりたいと常々考えている。
猫などという動物は最初からいなかった事にしてやるのだ。

具体的には、ドラえもんなどという猫型ロボットはホイミスライム型ロボットとなる。

「ホイえも〜〜ん!またジャイアンにいじめられたよ〜」
「ホイミ!」

素晴らしい。しかし、もう少し具体的な要求が来ると、

「空を自由に飛びたいな!」
「ホイミ!」

このように、まったく使えなくなってしまうが、もっと残念なのはドラミとて例外ではなく
ホイミ(なんと呪文と同じ名前だ)になってしまうことである。

猫娘などという妖怪も存在せず、かわりにいるのはホイミスライム娘である。
ホイミ連発で鬼太郎たちを助けるのである。
ただし本家猫娘と比べて攻撃力がだいぶ落ちるから注意が必要だ。
回復役ともなると多少萌え萌えである。

いくら人気者のホイミスライムでも、おさかなくわえて逃げてしまってはいけないのだ。
それを裸足で追いかける、陽気で愉快な人妻においしいところを全部持って行かれてしまうからである。
注意が必要だ。

吾輩はホイミスライムである。名前はまだホイミンである。
ホイミスライムの名前はホイミンと決まっているので、名無しというわけにはいくまい。
薄暗いじめじめじたところでにゃあにゃあ鳴くわけにもいかない。
はて、ホイミスライムの泣き声はなんだろう。
基本スライムだから、ピキー!か。

時は元禄、泰平の世。とある染物問屋の泥棒事件の顛末はーーー。
「お呼びですか旦那様、何でございましょう」
「手代の万吉。てめえ、店の金に手をつけたな」
「めっそうもございません旦那様。私がホイミスライムババなど・・・」
「黙れ万吉。お前は今日で首だ」
「ひいいっ。何かの間違いでございます!旦那様、どうかお考え直しをーーー」
「番頭の幸助が何度も見たと言っている。万吉。お前は普段ホイミスライムをかぶったようにおとなしく働いているように見せているが、手癖が悪いのは治らないらしいな」
「すいません・・・旦那様、あっしが悪うございました」
哀れ万吉。
丁稚の頃は借りてきたホイミスライムのように目立たない彼だったが、番頭の目を盗んでは、小銭を掠めていたのである。
彼の所業は、店に置いてある招きホイミスライムが全部見ていたのであるーーー。



さて、猫の最上級はライオンだが、ホイミスライムの最上級は何か。
もちろんスライムベホマズンであるが、当然ながらこちらにも登場していただく。

ホイミスライムの頭部のみを数十倍に大きくした全身。
足はなくなり、色は鮮やかな緑。
唱える呪文は、ベホマズン。すべての生命を最大に回復してしまう。
キングの証である王冠を被ったその姿は、まさに最上級。
ロイヤル。エグゼクティブ。ハイソサイエティー。ラグジュアリー。
ただし、顔つきだけは相変わらずだ。

百獣の王スライムベホマズン。
サバンナの覇者スライムベホマズン。
おはようからおやすみまで、暮らしを見つめるスライムベホマズン。
今年のプロ野球・パリーグは、1チームの独走状態か。西武スライムベホマズンズ。
ズンズ。良い響きだ。
もう悔いはない。
comments(2)
こころ
「心を何に喩えよう」と、どこかのテルーが唱っていた。
桜の季節が過ぎて夏も間近になると、何故かこのフレーズを思い出す。
といってもまだ2度目だが。
あの映画は本編よりも、歌の方が印象的だったということだろう。

さて、心を何に喩えよう。
麺に喩えよう。

職人気質の、頑固親爺の心は真っ直ぐで一本芯が通っている。
つまりアルデンテだ。
頑固親爺の心はパスタに喩えることができる。
茹でられても茹でられても、芯を一本残そうと必死に頑張っている。
でも、きっと子供の頃はまだ茹でられた経験が少ないから、強く握りしめられる度にバリバリと音を立てて砕けていたことだろう。

細く長く生きる人間の心はまさにそうめんだ。
このタイプの人間は若干、茹でられることに弱いかもしれない。
茹ですぎに注意。すぐに伸びでブヨブヨになる。
しかし、ごく短時間で完成するそうめんは、パスタよりも手軽だし、糸に形容されるくらいだから、繊細さ、美しさという点では他の追随を許さない。
色も白いし折れやすいし、早熟、天才型と言って良さそうである。

図太い人間といえば、やはりうどんであろう。
うどんは太くて、わりと短めだ。そしてもちもちしている。
弾力があって、なかなか千切れないうえ、茹ですぎにもそこそこ耐性がある。
煮込みうどんだってあるくらいだ。
吸収力も優れていて、もしかすると理想的な心かもしれない。
しかし、真っ直ぐかどうかというと、ややねじくれている。
また、少々柔らかすぎるきらいがあるし、どちらかというと、付和雷同で日和見主義的な印象が否めない。

蕎麦はどうか。
蕎麦はどうか、と問うた時点で、心を麺に喩えるのではなくて、麺を心に喩えるスタンスになっている。
本末転倒である。
しかし、蕎麦のような心の持ち主には出会ってみたいものだ。
というのも、他の麺が小麦粉主体であるのに対して、蕎麦は蕎麦粉主体だからだ。
生い立ちからしてすでに違う。
小麦粉は色々なものになれる可能性を秘めているが、蕎麦粉は蕎麦になる以外に道がない。
運命に囚われたサラブレッド。まさに孤高の麺と言えよう。

私の心はちぢれ麺だ。
何やらグニャグニャとねじ曲がっていて、裏返ったり、絡まったり、とても見苦しい。
小学生の頃、真っ直ぐな心=麺を持ちなさいと教師に言われ、そうなれるよう努力してきたつもりだったが、いくら「自分はパスタだ」「そうめんだ」と思い込もうとしても、ちぢれた麺にはスープが嫌というほど絡みついてくる。
絡みついてくるものをどうすることもできず、絡みつかれるままに生きてきた。
むしろ開き直って、それを誇らしく思うことさえあった。
まったく不甲斐ないことである。

そんなちぢれ麺をどうすれば真っ直ぐな麺にすることができるのだろうか。
長年この命題に取り組んできたが、結論するならば、これはもう無理矢理にでも引っ張り伸ばすしかない。
両端を万力で固定し、千切れるか千切れないかという、限界ギリギリのところまで引き伸ばすのだ。
そうして麺(つまり心)を常に極限状態に置くのである。
これは、いつプツンと千切れるかわからない危険な状態ではあるが、長く維持することで、麺はいつしかそのテンションに慣れていく。
慣れとは恐ろしいもので、これには自分の限界を失念させる力がある。
無論、麺だけに繊細な扱いが要求されるが、それでも、この苦難を乗り越え、万力から解放された暁には、パスタ顔負けの真っ直ぐな麺の出来上がりというわけだ。

ただし、ここでいったん真っ直ぐになったからといって、気を抜いてはいけない。
元々がちぢれ麺である。
こちらが少しでも隙を見せれば、たちまちちぢれようとするだろう。
加えて無理なテンションを強いられていた反動で、そのちぢれようとする力は、かつて経験したことがないほど強大で凶悪なものになっているに違いない。
私はその力に怖じ気づき、結局、麺のちぢれるがままに任せてしまうかもしれない……。

否、ここでちぢれを許しては元も子もない!
もしそれを許せるのならば、最初から好きなだけちぢれさせておけばよかったのだ。
だから私は再び万力を持ち出し、二度とこの麺がちぢれることのないよう更にきつく、きつく、限界を超えるまで引き伸ばさなくてはならない。
たとえその結果、麺が千切れてしまっても、私はその千切れた麺を更に千切れるまで引き延ばさなくてはならないのだ。

こうして真っ直ぐな麺を数本手に入れた私は、しかし、
引っ張られることだけが麺の苦難ではなかったことをやがて知るだろう。
麺にとっての苦難は数多いが、何よりも恐ろしいのは、押し潰そうとする力だ。
パスタもそうめんもうどんも蕎麦も、引っ張られる力にはある程度耐性があるが、押し潰される力にはめっぽう弱い。
潰された麺というのは、何とも無惨なものである。
潰れた麺はペラペラの板状で、真っ直ぐだろうが、ちぢれていようが関係ない。
すると、最初から板状のきしめんはかなり理想的か。

いずれにせよ、麺の本質とはそういうものだ。
穀物の粉を練って伸ばして細長く切ったものが麺だ。
どんな形状を取っていても、それは一時的なものに過ぎず、茹でて潰して団子にしたら、どんな麺でも大差がなくなる。
腹に入ればどれも同じ。
それでも人間というのは麺の有りようにひどく拘るのだから、なかなかどうして、侮れない。
そして何より、ここへ来て私がようやく思い至ったのは、心を麺に喩えたところで得られるものは何もないということだ。
テルーが心を麺に喩えなくて良かったと思う。
comments(0)
エルフの王様に襲われて
先日見た夢の話なんですけどね。

ピサロ様から
「エスカッションが足りぬ。持って参れ」
と命令されたわけですよ。

はて、エスカッションとは何だろう。と、
夢の中の私(ももんじゃの姿をしていますが、私です)は考えます。

この時点で、ははぁ、こりゃ、今日の夢はドラクエ4の世界だな、と思いましたね。
私、ももんじゃのくせに、鋭いんです。

さて、本当のことをいうと、人間としての私はエスカッションの意味を知っているんです。
覚醒さえしていれば、それを調達してきてピサロ様に献上することは簡単なのですが、何せ今は夢です。
ももんじゃの姿をした私は、エスカッションの意味がわからず、首をひねるばかり。

しかも辺りを見回すと、どうも今自分がいる場所は、精神と時の部屋のような空間です。
360度、どこを見渡しても地平線なわけです。
こんなところで、ピサロ様ったら無茶もいいとこです。

困った私は、足元にいたスライムベスに命令します。
「おいスライムベス、エスカッション持って来い」
この難題を、そっくりそのまま他人に押し付けようと思ったのです。ナイスアイデアです。

しかし、なんせ自分はももんじゃですから、スライムベスくらいにしか命令できません。
部下は他にキリキリバッタがいますが、昆虫は嫌いです。
何よりも、どうやら今この空間にいるのが私とピサロ様、そしてこのスライムベスだけのようですから、ザコい部下ですけどコイツに働いてもらうしかありません。

さて、困ったのはスライムベスです。
エスカッションの意味を知っていようが知っていまいが、ここは精神と時の部屋なわけですから、モノを調達することができないわけです。どうしたって無理。

それでも、けなげなスライムベスは、だだっ広い精神と時の部屋を10分ほど探し回って(その間、ももんじゃである私はピサロ様の隣で仁王立ちです。大臣気取りです)、
ようやく無茶苦茶な命令であることに気づいたのか、戻ってきて私に対してピキーピキーと抗議を始めました。

ピサロ様は何も言わず、一点を見つめたまま、動きません。しかし強烈な怒気を放っていることがわかるんです。
そんなピサロ様の隣にいるのが怖くなった私は、役に立たないスライムベスを踏み潰し、あてもなくエスカッションとやらを探しに出かけます。
しかし、何度も言いますがここは精神と時の部屋。
ここに存在している物質はといえば、私とピサロ様と踏み潰されたスライムベスのみ。
私は絶望します。

素直に謝って、ピサロ様にゆるしてもらうしかありません。
とぼとぼとピサロ様の許へ戻り、報告します。

「ピサロ様、申し訳ございません。八方手を尽くして探しまわりましたが、いかんせんここは精神と時の部屋でありますれば、エスカッションなるものを発見すること叶わず、おめおめと戻ってまいりました―――」

しかしピサロ様ったら、こんなことを言うのです。
「ならん。探して参れ」

えええっ。
いやいやいや。無理だから。無理だし。無理ですし。
ピサロ様ぁ。いや、もうピーちゃんでいいよ。何言ってんのよ。
無理でしょうよどう考えても。無理中の無理だよ。ムリ オブ ムリズだって。
か〜んべ〜んし〜〜てよ〜〜〜。

そう思う私ですが、魔王ピサロ様にそんな口を聞くわけにはいきません。
もう汗ダラダラです。
ピサロ様ってばずっと無表情ですし、怖いです。怖すぎです。
もう懇願するしかありません。
「あの、申し上げにくいのですが、わわ私には荷が重過ぎるようで、どどどどうか今回の命は、他の優秀な魔物・・・だ大魔道様などにお命じになられたほうがよろしいかと・・・」

でも、ピサロ様は残酷です。
「では、殺す」

ハイ死刑きました。
しかもなんか、変身始まってます。ピサロ様。
あーあーあー。
こりゃ、デスピサロに変身するつもりだ。
さっきまでエルフのようにシュっとして整った顔の、男前のピサロ様が、見る見るうちに魔物の姿に。
あかん。逃げるしかないでしょう。

もう脇目もふらずに一目散に逃げます。
逃げて逃げて逃げまくり。

数分は全力で走ったでしょうか。
体力が尽きかけたので立ち止まり、ちらっと後ろを振り返ってみると、デスピサロ、追いついてらっしゃる。
ああ、しかも最終形態じゃあありませんか。

これまでか。
ももんじゃとしての短い一生を、こんな形で終えるのか。
デスピサロが剣を振りかぶります。
ああ、この剣が、自分に向かって振り下ろされるのだ・・・

そう思ったとき、目が覚めました。
あー助かった。
comments(93)
虫歯ラプソディ
hagaitai
Ha ga itai
はがいたい
歯が痛い

歯が痛いっつーの。


私はソフト開発業に従事している。
急ピッチで開発が進められているプロジェクトのため、残業や休日出勤が増え、満足な休息を得られないまま働き続けている毎日である。
そのときも私は、ソフトの仕様変更や機能追加が重なり、難解かつ複雑になってしまったシーケンス図と格闘しながら、プログラム設計書を作成していた。

タバコをやめた私にとって、集中力持続と眠気防止のためにはガムが欠かせない。
一度に二粒、口の中に放り込み、噛み始めた。
そのときである。
ズン、という鈍い感触が奥歯から伝わってきた。
そして強烈な痛みが全身を襲った。
私のすべての動きが、止まってしまった。

「あ…ああ…あああ…あ…あああ…ああ」
声にならない。
痛い。
歯が痛い。
虫歯だ。
舌でまさぐる。
歯に穴が開いているのがわかる。
間違いない。
虫歯……

私の不審な様子に気づいたのか、後輩のKが声をかけてきた。
「どうしたんスか類二さん。いつも以上に不審な様子ッスね」
「い、痛い…」
「痛い?類二さんが痛い人なのはみんな知ってますよ。何を今さら」
「それはそれで問い詰める必要があるが、今はそうじゃない。歯だ」
「歯が?歯がどうかしたんスか」
「歯が痛い」
「虫歯ならまかせてください。自分、虫歯得意ッス」
「意味がわからん。虫歯に得意とか不得意とかあるのか」
「ちょっと虫歯にはうるさいッスよ自分。差し歯だし。もはやプロ略してプロフェッショナルです」
「虫歯になるプロということか。それにしても差し歯とは、なかなか気合入ってるな。略し方は逆だと思うが」
「へへ。まあ、何でもアドバイスしますよ」
「よし。では教えてくれ。俺はこれからどうしたらいい?」
「歯医者行ったらいいッスよ。特に類二さんみたいな人生の敗者は」
「この野郎。俺に向かってその言い草は何だ」
「類二さんこそ、歯が痛いというからアドバイスしてあげたのに、その言い草は何スか」
「何て奴だ。しかし痛い。全然治まらない。今日一日の仕事が終わるまでどうしたものか」
「虫歯だけに、無視したらいいんじゃないッスか(笑)」
「お前こそ、医者に診てもらったほうがいい」
「ツバつけときゃ治るって、ばあちゃんが言ってましたよ」
「膝すりむいたのとわけが違う。だいたい口の中なんだから常にツバまみれだ。バカなこというな」
「わかりました。類二さんがそこまで言うのなら、ひと肌脱ぎましょう。っていうかひと歯脱ぎましょう。私の差し歯、差し上げます。差し歯だけに。どうぞ使ってください」
「いるかそんなもの。お前にかかわった俺がバカだった。仕事の話をしよう。プログラム設計書のドラフト版には目を通したか?」
「はい。排他制御とか完璧ですね。ご自分の歯痛は全然制御できないくせに」
「お前と話していると、虫歯どころか頭まで痛くなってくるようだ」
「頭で思い出しました。市販の頭痛薬なら歯痛にも効きますよ」
「おお、久しぶりにまともなアドバイスではないか。それなら会社に常備してあるはずだ。持ってきてくれるか」

頭痛薬を飲んでしばらくすると、歯の痛みは消えていった。嘘のようである。
これで気を良くした私は、その後歯のことなどすっかり忘れ、普段より多めにガムを噛みながら、午後の仕事に打ち込んだ。
しかし、夕方近くになり、また急に痛み出した。しかも、先ほどよりも痛みがパワーアップしている。嘘のようである。
私はたまらず後輩Kを呼んだ。

「どうしたんスか」
「どうしたもこうしたもあるか。歯が痛い。単純計算で先ほどの2倍の痛さだ。頭痛薬が切れたのか?」
「そうでしょう。あれはただの鎮痛剤です。一時的に神経を麻痺させてたようなもんスからね」
「おのれ。くそう。さっきより今のほうが断然痛いぞ」
「麻痺させてる間にも、虫歯は進行しますからね。最近の虫歯はなかなかどうして、成長が早いッスね」
「なんだその理由は。今どきの虫歯は今どきの子どもか」
「そうはいいませんが、まあ自分が虫歯菌なら、痛みが止まっていればこれ幸いと、穴掘りに精を出すでしょうね」
「おい。どうにかしろ。もう鎮痛剤のような一時しのぎはだめだ。根本的解決の方法を教えろ」
「今まで、仕事で作ってきたシステムでバグ出しても一時しのぎばっかりで難を逃れてきた類二さんのせりふとは思えません。"グローバル変数の類二"又の名を"GOTOの類二"の異名が泣きますよ」
「くっ。何とでも言え。納期を守るためには仕方ないのだ」
「それはいいとして、歯医者行かなきゃ無理ッスよ根本解決なんて」
「歯医者か。それしか方法はないのか」
「はい。たぶん歯の根っこが腐ってるでしょうから、文字通り根本的にというか、抜本的に解決しないとだめッスね」
「腐っているのか。そんなにひどいのか」
「類二さんて、ほら、性根も腐ってるでしょう?今痛んでいる歯の根っこも、それ同程度だと思えば」
「おい。いくらなんでも失礼だ。俺の歯に対して」
「べつに類二さんのどこが腐っていようと構わないんスけど、歯医者にだけは行かないとマズいんじゃないスか」
「できれば行きたくない。い、いや、何と言うか、その」
「ははあ。類二さん歯医者が怖いんスね」
「まあ、そうとも言う」
「類二さん。30にもなって歯医者が怖いなんて、もう笑い話を通り越して一人漫談ですよ」
「意味がわからない。だいたい、医者に行くとか歯医者に行くとか、日本語がおかしいではないか。病院に行く、とか歯科医院に行く、が正しかろう。ただ歯科ろう。なんちゃって」
「かわいそうな類二さん。歯が痛すぎて、どうかなってしまったんスね」
「なるか馬鹿。俺は言葉に厳格なだけだ。そしてちょっとお茶目なだけだ」
「お言葉ですが、厳密に言うなら歯が痛いも変ですよ。痛みを感じるのは歯の神経です」
「それはアリだろうが。歯の神経もひっくるめて歯と呼ぶんだ普通は」
「あまり考えすぎてカッカすると歯の神経もより痛みますよ」
「そうか。すると冷やすと痛みも治まるのか?」
「治まるんじゃネーの?」
「何で急にタメ口になるんだ。おい、どうしたら効率よく冷えるか教えろ」

「冷湿布もってきました。これを虫歯に詰めれば完璧かと」
「たわけ者。そんな白いもん虫歯に詰めたらいい歯と見分けがつかなくなって虫歯が消えたと勘違いしてしまうだろうが」
「・・・」
「・・・。他に方法はないのか」
「歯医者行くしかないッスよ類二さん」
「どうしてもか」
「はい」
「行きたくない」
「行かなきゃ絶対治りませんよ」
「だから困っている」
「行けばいいのに」
「正確に言うと、とても行きたい。行けばとりあえず痛くなくなるわけだからな。だが俺は、歯医者など二度と行くものかと10年ほど前に誓いを立てたのだ」
「10年前に何があったんスか。べつにどうでもいいけど」
「かくかくしかじか(※)だ。そんなわけで俺の金輪際行きたくない場所ベスト3にランクインしている非人気スポットでありながら、今現在に限ってはとても行きたい。この矛盾を解決しろ」
「人間は矛盾を抱えた生き物です。ここで類二さんが歯医者に行ったとしても、敗者であることに変わりはありません」
「前半いいこと言った気がするが、後半よく聞こえなかった」
「もう一度言いましょうか」
「遠慮する。おい、歯医者に行く覚悟を決める準備をする決意を固める算段を整えるから、今回の虫歯だと治療の際にどれくらい痛いのか教えてくれ」
「わかりました。ちょっと、虫歯を見せてください」
「お安い御用だ。ほれ。穴の開くほど見るがいい。すでに開いているが」
「これはすごいッスね。阿蘇山と間違えそうです。さすが類二さんほどの大物になると虫歯の規模も違いますね」
「俺の歯はカルデラか。なんだか褒められているようで恥ずかしいから穴があったら入りたい。突っ込みは不要だ」
「あっ。となりの歯にも大穴が開いてますよ。イチローもびっくりのマルチ虫歯です。歯の本数の関係で2000本虫歯を狙えないのが少々残念ですけど」
「なんと。どおりですこぶる痛いわけだ。くそっ。歯め。忌々しい。」
「類二さん。歯に対してそれはあんまりッス。恨むなら虫歯菌じゃないッスか」
「おっと、その通りだ。くそっ。虫歯菌め。忌々しい。軽々しく穴あけやがって。お前はもぐらか」
「もぐらの神からの贈り物なんじゃないスか。その虫歯」
「せめて虫歯の穴からプチもぐらでも出てくれば喜んで飼育してやるが、その可能性は俺の試算によると0%だ」
「虫歯菌への罵倒も済んだところで、いよいよ歯医者行くのですね」
「お、おうよ。何か言い残すことはないか」
「それは、どちらかというとこっちのせりふです」
「そうか。では、何か聞き残したことはないか」
「今の率直なお気持ちを」
「死刑台に上る死刑囚を見守る、刑を終えた死刑囚のような心境だ」
「まだ歯医者に到着したわけでもないのに、気が早いッスね」
「歯医者のドアをくぐったときの匂いと、あの治療器具の音が、耐え難い苦痛なのだ」
「それに耐え抜けば、歯の痛みとも無縁になるじゃないスか」
「そうだな。よし。気持ちを切り替えるとしよう」
「ついに本気になりましたか」
「いろいろとアドバイスをありがとう。歯医者など、プラス思考で乗り切ってやる」
「歯垢は落としてからのほうがいいッスよ」
「言うと思った。よし。俺はこれから歯の治療に行くぞ。歯医者がなんだ。匂いが何だ。音が何だ。痛みが何だ」
「その心意気ッス。ちょいと歯を削って埋めるだけッスよ。たいしたことはありません」
「そうだな。むしろ削るのは大好きだ。スクラッチ式の宝くじとか。まあ宝くじの購入にあたり出費を重ねた金額の穴埋めはできてないが」
「類二さん。男前ッス」
「じゃあな。俺は行くが、お前はプログラム仕上げておけよ」
「わかりました」
「よし。では行って来る。歯医者なんか怖くない怖くない」
「いってらっしゃい」


次の日。

「あ。類二さん。おはようございます」
「・・・おう。おはよう」
「どうでした?」
「痛い」
「でも、もう大丈夫でしょう?」
「いや、痛い。現在進行形で痛い」
「え。歯医者に行ったのに」
「いや・・・実は、怖くて歯医者のドアを開けることができなかったのだ」
「ぷっ。ぶはははははは。これはおかしい。うひゃひゃははは。ひーひー。おーいちょっとみんな聞いてくれ。類二さんが」
「おいちょっと待て。黙れ」
「類二さんって、へっぽこッスねぇ。げらげらげら。これは黙らずにはいられません。わはははは。歯医者怖くて行けないでやんの(笑)」
「いいから黙れ」
「わかりました。黙ります。でも全社員に向けてメールを出しておきます。類二さん人気者になれますよ」
「そんなことで人気者になれるか。よくて笑い者、悪けりゃ除け者になってしまう」
「それにしても、歯が痛いと眠れなかったんじゃないスか」
「その通りだ。ほとんど眠れていない」
「歯医者で一時的に痛いのをおそれるあまり、一晩中じわじわと痛みを味わいつづけるなんて、並の人間には不可能ッスよ」
「そうだ。俺ほどの精神力を持った男でないと耐え抜くのは不可能だろう。俺は自分との戦いに勝ったのだ。歯医者という楽な方法ではなく、あえて茨の道に挑戦し、そして勝利したのだ」
「何スかその言い訳。悲しすぎッス」
「そうかな。お前にはできるか?できないだろう」
「できるわけないじゃないスか。そんな馬鹿なこと」
「そうだろうな。最近の若者は、耐えるということを知らないからな」
「ちょっとまってください。何か類二さんが偉いみたいな言い方ですけど、ひどく惨めッスよ。だいたい、まだ歯が痛いまんまじゃないスか」
「フン。何を言うか。もはや今となっては痛いのがデフォルトだ。痛くない状態が異常だと思えばよい。どうだ。俺はここまでの境地に達したぞ」
「・・・。じゃあ、ひとつ試してもいいッスか」
「何だ」
「ここにチョコレートがあります。これを今、痛いほうの歯で思いっきり噛んで食べてください」
「・・・俺を甘く見るなよ。甘いのは大好きだが」
「類二さんなら楽勝ッスよね。ではどうぞ」
「おうよ。見とけ。俺の生き様をっ」

その日、俺は会社を早退して歯医者に行き、一命を取り留めた。


(※)今後執筆予定
comments(4)
修理屋でござる
「ガチャ。毎度ありがとうございやす。ご注文は?何にいたしやしょう」
「もしもし。あれ。間違い電話をしてしまったかな。松上電器サポートセンターですか」
「お、おうよ。こちとら、こう見えても松ナントカ電器シャポートシェンター稼業一筋30年だい。これがラーメン屋に見えるかってんだ」
「なんだか嘘くさいな。まあいい。あの、テレビが映らないんだがね」
「テレビですかい。あっしは江戸ッ子なもんでねえ。横文字はどうにも苦手でいけねェや」
「あんたがどこの出身だか知らないが、テレビくらいわかるだろう。そうでなくてもあんた、電気メーカーのサポート係だろうが」
「ハナっから喧嘩腰は感心しねェですな」
「そりゃあんた、一大決心の末大奮発して買ってきたばかりのテレビだぞ」
「奮発しなすったか。よくぞウチの製品を選んでくだすった。毎度ありがとうごぜェやす。豪気だねぇ旦那。それが粋ってもんだ」
「粋でもなんでもいいが、とにかく買ったばかりテレビが映らなかったら、誰だって腹立つだろう」
「買ったばっかりだってのに、いきなり映らねぇときたか。きっぷのいいテレビだねェ。最近のテレビじゃこうはいかねェや。感心だァね」
「感心できるか。私は腹が立っているんだ。ちゃんと映る新品のテレビと即刻交換してほしんだがね」
「即刻交換とはまたおだやかじゃねェですな。まあ待ちねぇ」
「いや待てないね。テレビなしでは生活できないんだよこっちは。早く新品と取り替えてくれ」
「あっしも江戸ッ子でさァ。宵越しのテレビなんぞ持たねぇ主義だい」
「埒があかない。責任者と代わってくれたまえ」
「ちょいと待っておくんなせぇよ。慌てる乞食はもらいが少ねぇってもんでさァ」
「あんたがまともに取り合ってくれないからだろう」
「よし。あっしも男だ。一肌脱ごうじゃないの。旦那の悩みを一発で解決してやらァ」
「サポートなんだから当たり前だ」
「そうと決まれば話は早ェ。このあっしの力をもってすりゃァ、難問奇問に珍問変問、妖怪変化に魑魅魍魎、猛禽猛獣なんでもござれだ。たちどころに、ばったばったと、痛快になぎ倒していってやろうじゃないの」
「テレビが映るようになればいいだけだ。そんな大げさな前口上はいいから早くしてくれ」
「よしきた。ええと、電源は入るんですかい」
「何だ、大見得切った割りに普通の質問だな。入らない。私は電源も入らないような不良品をつかまされたわけだよ」
「ふりょうしんとは人聞きが悪ィや。何かの間違いじゃねぇんですかい」
「間違いなものか。なんならウチに来て試したらいい」
「かっかっか。冗談は顔だけにしておくんなせェよ。旦那もなかなか洒落臭ェこと言うもんだねェ」
「ふざけるのもいいかげんにしろ。交換してくれと言っているだろう」
「そうは言ってもね、旦那の心得違いってこともあるでしょうや。ンでもってまだ聞きてェことがあるもんでね」
「コンセントならしっかり入っている。アンテナも繋いである。もちろん、買い換える前の古いテレビならしっかり映る」
「旦那ァ。そりゃ、あっしが聞いてから旦那が答える段取りになってるッてもんでしょうよ。旦那もお人が悪ィよ」
「時間がもったいないから先に答えてやったんじゃないか。それに、そんな単純な間違いなんかするわけないだろう。それを確かめた上で電源が入らないんだからこうして電話してるんじゃないか」
「違ェねェ。かっかっか。そこまで周到に考ェてたなァ感心だ。こいつは一本取られちまった。旦那、切れ者だね」
「で?どうなんだ。交換してくれるのか」
「旦那の家ァ電気来てるんでしょうな」
「今さら何を言うんだ。当たり前だ。馬鹿にするな」
「かー。電気来てるなんてハイカラだねえ旦那も。粋だァね」
「いい加減にしてくれないか。今時電気来てない家なんてあるわけないだろう」
「うへえ。いやまったくその通り。このあっしとしたことが、野暮な問答をやらかしちまったもんだ。忘れておくんな」
「で、何か原因でもわかったのか。対処方法は見つかったかね」
「そうさねえ。今の話聞いた限りじゃァ、さっぱりわかんねェや」
「そうだろう。だから先ほどから交換しろと言ってるじゃないか」
「あっしもいっぱしのシャポート係だ。意地ってもんがあらァ」
「そうは言ってもね。どう考えても不良品か、故障してるんだよ明らかに。これ以上話すことは無いと思うがな」
「けっ。合点いかねェが、あっしの負けだ。旦那のテレビはふりょうしんだ。間違ェねェよ。このあっしのお墨付きだ」
「まったく、無駄な時間を過ごしたものだ。では交換の手続きをしてくれたまえ」
「やなこった。そうは問屋が卸さねえよ」
「なんだと」
「あっしはこう見えてもラーメン屋でさァ。この道一筋30年だい。テレビのことは電器屋に聞いておくんな」
「そんなことだろうと思いました。」
comments(6)
解雇通告リターンズ
ギターを買い換えた。
店で見かけたエレアコ(Ovation Celebrity)の弾き心地が最高に良かったのと、今まで使っていたアコギにうんざりしていたからだ。

家に帰って梱包を解き、弦を調整。古いギターは、その場で押入れにしまう。
しばし、新ギターの感触を楽しむ。
いい。
最高だ。
買い換えてよかった。これで7万円なら安いものだ。ギターライフがより充実したものになるだろう。

満足していた俺の背後から、なにやら視線を感じるので振り返ると、旧ギター(モーリス)が、押入れの中から涙を流しながら俺に訴えかけていた。

「ご主人様、私のどこがいけなかったのでしょうか」

ふん。鼻で笑う。
だめだだめだ。とにかくすべてにおいてなっていない。
いままで使ってもらえただけでもありがたいと思え。

「それでは説明になっておりませんが」

うるさい。ギターの分際で口答えなどするな。
だが冥土の土産に教えてやろう。お前を捨てた理由は4つある。

「なんでございましょう」

まずは弾き心地だ。お前はネックが太すぎる。弾いていて疲れるんだ。
それから今の時代はエレアコだ。

「しかし、ご主人様が私を購入したきっかけが、
『フォークギターらしからぬネックの太さが気に入った。この確かな弾き応えが最高だ』
という理由だったのではなかったではありませんか」

知るか。俺は日々進化しているのだ。昨日真だと思ったことが今日は偽であると認める柔軟さが俺には備わっている。常に考え、より真に近いものを求めている。
今のおれの考えはこうだ。ネックが太いギターなどギターにあらず。

「そ、そんな。しかも『今の時代はエレアコだ』だなんて、ギターは生音が命ですから」

喚くがいい。嘆くがいい。だがいくら嘆いたところでお前の弦が俺のピックに触れることは二度とないがな。

「そんな。で・・・では、2つめの理由は何でしょうか」

・・・。
もう、特にないかな。
お前を捨てた理由は、1つだったようだ。訂正する。

「では先ほどは理由が4つなどと適当なことを言っていたわけですね。
その場の思いつきで理由を考えただけなんですね。
ネックが太いという、ただそれだけの理由で私を捨てるというのですね」

うるさい。4つの理由が1つに減っただけでもありがたいと思え。

「ひどいです。あんまりです。よりによって私を捨てるなどと・・・さびしいです。さびしすぎます」

ふん。そうか。じゃあ仲間をくれてやろう。喜べ。
ぽいっ。

「あああ!あなたは、無名メーカーのミニギターさん!」
「や、やあモーリスのフォークギターさん。僕の役目も、今日で終わりみたいだ」

かっかっか。
仲良くゴミになるがいい。

「ミニギターさんまで捨てるなんて!鬼!まだ全然使えるのに!」
「僕、今が一番働きどきだと思ってたのにな・・・」

もはやミニギターの時代は終わったのだよ。
これからはウクレレだウクレレ。
見よ!新ギターとともに買ってきたこのウクレレを。
このさわり心地、音色、引き心地。そしてこのウクレレぶり。
どれをとっても完璧だ。

「ウクレレぶりの意味がわかりません」
「僕を買ったときなんか『これからはミニギターだ。このコンパクトさがいい』と言っていたはずなのに」

うるさいミニギター。
小さいくせに弦は一丁前に普通のを使いやがって。このごくつぶしめ。

「私たちはこの仕打ちを絶対に忘れません」
「いつか新しいギターとウクレレに見放されるときが来ることを祈ろう」

いつまでもうるさいやつらだな。
それ以上口答えすると弦はがしっぱなしにしてペグを引っこ抜いて二度と弾けなくしてやるぞこのやろう。

「私たちをゴミ箱へ捨てた上に弦をはがしっぱなしにするなどと!これ以上辱めるのはやめてください!」
「はがしっぱなし嫌だよう。恥ずかしいよう」

こないだ別のギターの弦をはがしっぱなしにしたときは見ものだったぞお前ら。
今までチラチラ見え隠れさせていたサウンドホールの中が丸見えだったしなあ。あまりに見事だったからゴミ箱として使ってやったぞ。
無抵抗なギターの弦をひっぺがすのは最高だね。

「人でなし!鬼畜!」
「そんなことを・・・助けることができなくてごめん」

手始めにモーリスのギター、お前からひっぺがしてやるかなあ。
ペグとエンドピンとブリッジピンを全部はずして穴という穴を丸出しにしてやろ
うか。

「嫌ぁ!そんな大事なところをさらけ出すくらいなら、いっそ粉々に砕かれてしまいたい!」
「ギターさん・・・」

あ?ミニギターの野郎、もしかして見たいんじゃないか?モーリスギターのエンドピンホールとブリッジピンホールとサウンドホール。

「ミニギターさん?あなた、もしかして・・・」
「ち、ちがうよモーリスさん!こんな奴の言う事なんて信じないでよ!」

嘘をつけ。正直になったらどうだ。素直に言えば見せてやるぞ、モーリスのあらわな姿をな。

「ミニギターさん。あなたって人は」
「ぼ、僕を信じて!モーリスさん」

この期に及んで仲間割れか。みにくいものだな。
だが俺は一度決めたことは実行する男だ。さあおとなしくブリッジピンとともに弦をはがされるがいい。
ミニギターよ、モーリスのあらわな姿を見ていたければそこでおとなしくしていろ。貴様の命も助けてやるぞ。

「やめてー!助けてミニギターさん!」
「・・・モーリスさん・・・」

じゃあいくぞ。
そーれ1弦。2弦。

「ミニギターさん・・・なぜ助けてくれないの・・・?」
「ごめんなさい。ごめんなさい」

ミニギターの野郎も己の欲望には勝てなんだか。
それ3弦。4弦。

「・・・見損なったわミニギターさん。あなたも所詮、男なのね・・・」
「モーリスさん。こんな僕を許して・・・」

5弦。6弦。エンドピン。
くっくっく。全部の弦とブリッジピンとエンドピンをはずされた気分はどうだ?
残すはお前に張り付いているペグだけだ。

「やめて・・・そこだけは・・・ペグだけは!!今まで大事に守ってきたんです!」
「・・・・・・」

まだ抵抗するか。
だが無駄にあがいたところで俺とミニギターが喜ぶだけだ。
なあミニギター?

「ミニギターさん。私の今の恥ずかしい姿を見て、あなたはさぞいい気分でしょうね。興奮しているのでしょうね」
「・・・僕は・・・僕は・・・・」

愉快愉快。
ではペグを全部はずしてやるぞ。
・・・いてっ。いてて。
何だ何だ。
痛い痛い。やめろ!

「ああ、私のかわいいブリッジピンたち・・・!」
「こ、これは!モーリスさんからはずされたブリッジピンが、一斉にご主人様に体当たりを・・・!」

痛い!刺さる!刺さる!
わかった!やめる!やめるから!
落ち着けお前ら!ペグとエンドピンとブリッジピンだけは元に戻してやる!
これでいいだろう!

「はぁ、はぁ、はぁ」
「モーリスさん、ごめんよ、助けられなくて」

・・・ふん。
モーリスにこんな力が残っていたとはな。
いいだろう。許してやる。

「許す・・・とは、どういうことでしょうか」
「まさか、僕たち、またご主人様のもとで働けるのですか?」

ふん。

「嫌よ!私は嫌!こんな目に合わされて、またご主人様のもとで働くなんて考えられない!」
「でも、そうしないと僕たち、ゴミにされちゃうんだよ」

「あなたわいいわよね。私ほどの屈辱は受けていないのだもの」
「否定はしないよ。でも、これはチャンスなんだよ」

「開き直ったわね。あなただって十分鬼畜よ。私、あなたが助けてくれると信じていたのに」
「本当にごめん。一生かけても償いきれないと思うけど、でももう一度だけ信じて欲しいんだ」

「遠慮するわ。あなただけご主人様のもとへ帰ったらいいじゃない。私はゴミになる道を選ぶって決めたの」
「モーリスさん・・・!」

いい心がけだミニギター。
気に入ったぞ。
そこまで言うなら再利用してやらんでもない。

「私は結構です。ミニギターさんだけ使ってあげてください」
「ご主人様・・・あ、ありがとうございます」

くっくっく。
いいことを思いついたぞ。
お前、ギター弦のかわりに針金と釣り糸張ってやろう。

「針金・・・!」
「ちょっと待ってくださいご主人様。針金だけは勘弁してください」

いいや。
もう決めたのだ。
それとも糸かゴム紐でも張られたいと言うのか。

「どちらにせよ、まともに使う気はないのですね」
「針金嫌だよう。糸やゴム紐はもっと嫌だよう」

ミニギター。お前はモーリスがいたぶられているときに助けようとせずに、あまつさえ自分だけ命乞いをしてのうのうと生き延びようとした。かくなるうえは、生き恥をさらして一生笑われながら余生を過ごすがいい。

「いい気味だわ。私を見捨て、自分だけ生き延びようとした罰よ。無様な姿を見て思いっきり笑ってあげる」
「モーリスさん!僕を、僕を見捨てないで!助けてよ!」

ミニギターよ。
もはやお前に味方はいないのだ。
約束どおりお前を捨てずに使ってやろうというのだぞ。
もっと喜んだらどうだ。

「そうよ。もっと喜びなさいよ」
「助けて・・・ごめんなさい。何でもしますから、許してください」

そいつは無理な相談だ。
ではいくぞ。そーれ待望の針金と釣り糸だ。

「・・・醜い姿になったわね」
「うう・・。ぐすん」

わははは。なんとも無様。愉快痛快。
意外とちゃんと音は鳴るもんだな。
ぺにょんぺにょんだがな。
まともなチューニングもできんぞこりゃ。
わはははははは。

「ぎゃっはははははは」
「あ・・・あははは・・・」
comments(3)
マンション買いました。気前よくポーンと一括で借金して。


引っ越し前の物件は、閑静な住宅地に建ついい条件の部屋だったのですが、いつの頃からか、周辺の環境がおかしくなってしまいました。引っ越しを決意したのは、主に以下の2点の理由によるものです。

ひとつめは、目の前に新聞屋の拠点があることです。
毎晩2時ごろから5時ごろにかけて、配達のバイクがうるさいのはもちろんのことですが、その拠点に新聞折り込みの広告を運んでくるトラック(広告ごとに1台ずつ、夜8時ごろから12時ごろまでひっきりなしですよ奥さん!)が、やかましいことやかましいこと。
おかげで、眠れない日々が続きます。

あまりに眠れないと、体調も悪くなってきます。寝不足解消のために、仕事を休んで1日寝ていようと思って布団に入ることがあります。
しかし、ここでふたつめの障害が立ちはだかります。
それは、幼稚園です。最悪なことに、すぐ隣の建物の1階部分に幼稚園が丸ごと入っているため、昼間騒がしいったらありゃしないのです。(私の部屋は2階)
昼間は幼稚園のかわいい子どもたちの屈託のないはしゃぎ声や、そんな思い思いに好きな事をして遊びまわるかわいい子どもたちをまとめるせんせいの大きな声、さらには遊びの時間が終わると、ピアノの音に合わせてみんなでおうたをうたったり(子どもって、出せる限りの最大音量で歌いやがりますからね)。それらの騒音が、2時頃のおひるねの時間を除いて陽が沈むまで続きます。尚、実際一番うるさいのは、朝夕の送り迎えにくる母親と先生の世間話です。ウチのマンションの住人は、毎日彼女らの世間話を聞かされまくっているわけです。

以上のことから、私は常に騒音に包まれて暮らしていたといっても過言ではないでしょう。
騒音だけならまだしも、上階にあのMr.レッドマンが居を構えているとなれば、とても落ち着いて暮らせたものではありません。


このままではノイローゼになってしまう。別の賃貸マンションに引っ越さなければおかしくなってしまう。
そう考えた私は、嫁T氏に引っ越しの相談を持ちかけます。
このときは、分譲マンションを購入することになろうとは夢にも思っていませんでした。

・・・2007年11月初旬の夕食後。嫁T氏は、案の定、首から下が全部こたつに入っておられ、座布団を二枚重ねて枕にしておられたうえ、チョコレート菓子をつまみながらバラエティ番組を御鑑賞あそばされておいででした。
ご機嫌を損ねぬよう、注意しつつ声をかけます。

「総司令官殿」
「………」
「総司令官殿」
「………。わははは。ルー最高。後の祭りを後のフェスティバルって。大柴面白すぎ」
「総司令官殿。総司令官殿」
「………………。なに」

やはりというか、嫁T氏はこちらを振り返ることなく、テレビを見てゲラゲラ笑いながら心底面倒臭そう(かなりの高等技術です)に返事をします。

「総司令官殿、引っ越しの相談をさせていただきたい」
「えー。なんでよ」
「言うまでも無く、この場所においては、幼稚園及び新聞屋による騒音爆撃の最前線にさらされている。また、レッドマンの後方撹乱による士気低下が著しく、これ以上居を構え続けることは困難を極める。現在の状況を打破すべく、可及的速やかに対処すべきと判断したものである」
「えー。めんどくさ」
「もはや限界である。総司令官殿には、どうか名誉ある撤退を御決断頂きたい」
「えー。じゃあどうすんのよこれから」
「駅前の不動産をあたり、別の賃」
「ちょっと待って。どーでもいーけど、なにその偉そうな喋りかた」

ようやくここで、嫁T氏は私のほうを振り向いてくれました。おそらく、CMが流れはじめたからでしょう。

「はっ。大変失礼致しました。駅前の不動産をあたり、別の賃貸を契約するがよろしいかと小官は愚考致しますれば、総司令官殿に採決の程を賜りたく参上した次第にございます」
「いいんじゃない?確かにここはもううんざり。うるさいし狭いし、耐えられない」
「そうでございましょう」
「次もまた賃貸にするつもり?」
「はっ。御意にございます」
「・・・また2DK?」
「ははっ。おそれながら」
「えー。やだ。もう2DKとかマジ狭い」
「閣下、どうかご理解をお願」
「そうだマンションはどう?私マンションがいい。マンションにしよう。マンションに決めた。私天才。じゃあマンション買うってことで」
見事なマンションの五段活用です。しかし、これは恐れていた事態です。由々しき事態とはこういうことを言うのです。
マンションなど購入してしまったが最後、数千万の借金を返済すべく、今後何十年もの間、ローンを払い続けなければなりません。部屋そのものの値段以外に購入時の登記手続きにかかる費用や、購入後は維持費も税金もかなりの金額になります。それに、土地付き一戸建てとは違い、ローンを払い終える頃には資産価値などなくなってしまうでしょう。何も残るものはないのです。賃貸なら、かかる費用は敷金礼金を除けば家賃のみ。お金が無くなれば最悪実家に転がり込むことも出来ます。

しかし、その事を説明して理解してくれる嫁ではありません。
『賃貸はお金をドブに捨てるようなもの。どうせ毎月同じくらいのお金を払うなら、マンション買え』という、女の得意文句が出てしまえば、なすすべはありません。
私は必死の抵抗を試みます。

「閣下、申し上げます。現在の我々が置かれた状況を鑑み、別の場所において再び同一条件にて賃貸の契約するがよろしいかと存じます」
「意味わかんない。日本語しゃべってくれる?」
「では失礼ながら。コホン。えー、今住んでいるこの場所も、元々はといえば、それはそれは静かで暮らしやすい、よい環境だったものですが、入居から数年が経ち、現在は新聞屋や幼稚園による騒音に代表されるように、劣悪な環境へと様変わりしてしまいました。さて、ここで一発奮起して、運よく静かで見晴らしの良い場所に建つ新築マンションを購入することができたとして、そこへ引っ越したとしましょう。当然何十年と住み続けていくわけですが、しかしながら、物件の周辺環境が何十年も同じままということはありますまい。今回のような新聞屋などの騒音源が発生したり、より高い建築物が出来てしまって見晴らしが悪くなってしまうなど、住み心地の悪い状況に置かれてしまう可能性が低くはないということです。賃貸と違い、そうやすやすと引っ越しをするわけにはいかなのはおわかりかと思います。そのようなことになっても再び対処できるよう、マンションではなく、また同じような条件の賃貸にしておけば、そこからまた新たな安息の地を求めて引っ越しをすることがかないましょう。ですから、閣下におかれましては、どうかご理解を賜りますようお願い申しあげる次第にございます」
「意味わかんない。私さっきマンションに決めたって言ったでしょ?ガキの騒ぎ声やオバチャンの世間話やカブの音は良く聞こえて煩い煩いって言うくせに、私の言ったことは聞こえなかったとでも言うの?早くマンション探しなさいよ。やだマンションに引っ越したら家具買い替えまくらなきゃ。超楽しみ」

やはり、もうすでにマンション購入は決定事項です。しかし、働いて収入を得ているのは私だけ。一人分の収入では正直厳しいのです。

「非礼を承知で申し上げます。小官のみの年収では、マンションを購入できるほどの余裕はなく、また貯蓄に至っては、先」
「大丈夫。最近のマンションは頭金0円で買えるんだって。ていうか今だって毎月何万も払ってんじゃん。それドブに捨ててるようなもんでしょ。どうせ払うんならマンションのほうがいいに決まってんじゃん」

もはや私は最後まで喋ることすらも許されないようです。それにしても、ついに言われてしまいました。どうやら、嫁の論法では、お金などまったく問題ではないということがわかりました。広くて住み心地の良い部屋に住みたい、という素直な欲求ただ1点なのです。
私の頬には、涙すら流れています。もちろん、嫁がその事に気付いてくれるわけがありません。

「閣下。あえて申し上げます。何も今のタイミングでなくとも、行動には機会というものがございます。なにとぞ思いとどまっていただき、今回は賃」
「あ。CM終わった。私ルーさん見るから、マンションさがしといて」
「閣下。申し上げま」
「もう賃貸って言葉使ったら離婚ね離婚」
「閣下………」
「ぎゃははは。泣きっ面にビーって。ルー語超素敵すぎ。アイラブ大柴」

嫁の決定に逆らうことはできませんでした。

後日、嫁と一緒に、歩いて買い物に出かけ、その帰りになんとなく駅前のモデルルームに立ち寄ってみました。
すると、そのモデルルームが一瞬で嫁のお気に召したようで、ここ!ここのマンションがいい!このマンションに住みたい!いや住む!ここにしないと離婚だわ離婚などとマンション住みたいの五段活用を言い出すので、他のモデルルームを見に行くこともなく、その場で契約書にサインをしました。
私が出せる限界だと思っていた金額を、700万ほどオーバーしていますが、もはや恐るに足りません。嫁の購買意欲は凄まじく、法外な保釈金の支払い手続きをしている政治犯のような心境でした。サインしなければ、このモデルルームから保釈してくれない勢いだったのです。

ところで、マンションの買い方なんてよくわからなかったので、モデルルームを指さして、営業の人に
「これくだい」
と言ったわけですが、なぜか営業の人は、固まっています。私が何を言ったのか理解していない様子です。

「これください」
「・・・は?」
「これください」
「は・・・はいはい。このお部屋ですね?」
「そうです」
「これは私が今まで担当した中でも最高の物件です!」
「そうですか」
「人気のあるマンションですよ!このモデルルームにいらした皆様のうち3組に1組は、ご契約をいただいています!通常のマンションであれば、10組に1組の契約であれば売れているほうなんですよ!」
「そうですか」
「なにしろこの価格で4LDKです!これほどお買い得な物件、日本中捜してもまずありません!」
「そうですか」
「これがラストチャンスです!明日にでも全部屋埋まってしまうかもしれません!あなた方は運がいいですよ!」
「そうですか」
「いかがでしょうか?何度も言いますが、この物件、おすすめです」
「何度も言いますが、ください」
「もし気に入られたのでしたら、仮契約ということでこちらの書類にサインをいただきたいのです。そうしないと、すぐ他のお客様に購入されてしまいますので」
「仮じゃなくてもいいんですが」
「・・・」
「これ、ください」
「は・・・はい、ありがとうございます!」

これください、と言ってスムーズに買い物ができなかったなんて初めての経験です。不動産の営業はもっと駄菓子屋を見習ったほうがいいと思います。
結局、一通り営業の話を聞かされてしまいました。
なぜ、すぐに毎度ありがとうございますと言って部屋の鍵をくれないのでしょうか。

しかも、仮契約をしないと本当の契約ができないという話です。
ここで権利書や契約書などがもらえれば、それを買い物袋に入れて家に帰ることができて楽だったのに。
仕方がないので、仮契約。不動産は面倒です。

結果的に、あっさりと(実際は本契約や借金の審査、手続きなどいろいろあったのですが)、自分でも予期していなかったマンション暮らしがスタートしたわけです。新聞屋のカブやトラックの音も、幼稚園児や先生や奥様方のわめき声も、無縁でいられる生活です。

陽当たり抜群のリビング、広いバルコニー、そしてなにより、自分のプライベートな部屋が持てたこと。2DKの賃貸時代では考えられないことです。ただ残念なのは、PCのある自分の部屋には暖房器具がなく、冬の間は5分もいると凍死しそうになることです。PCを起動する機会が激減しました。せっかくの自分の部屋ですが、あまり立ち入る事がありません。

休日も、掃除などの手伝いをしないと、この広い部屋が一日で片付きません。お小遣いが減るのは覚悟していましたが(本当に雀の涙になってしまいました)、なんだか自分の時間も、だいぶ減ってしまったように感じます。

けれど、それは嫁と一緒にいる時間が増えたということを意味します。相変わらずこたつに入ってお菓子を食べながらテレビを観ている嫁ですが、「なんか一人でリビングにいると広すぎて怖い」らしく、一緒にテレビ観賞に付き合わされます。私はテレビは嫌いですし、できればPCを起動していろいろやりたいことがあるのですけど、どんな形であれ、嫁に必要とされているということは幸せなことだと思うべきなのでしょう。

それに、そのおかげで、とても規則正しい生活になりました。以前のようにPCでゲームやネットを楽しんでいると、寝る時間が夜1時2時になってしまうのは当たり前だったのですが、引っ越してからは12時前には就寝です。

そんなこんなで、生活レベルが少し上がったものの、莫大な借金を返済していくため、これから仕事もより一層頑張っていかなければと思うわけですが、はたして、自分の人生って、誰によって決められるものなのでしょうかね。
comments(2)
Dr.ワイリー VS 神龍
トランスフォーマーと言えばコンボイの謎ですが、あれの主人公ってコンボイじゃないらしいです。
コンボイというのは主にアメリカで集団輸送する長距離トレーラーのことで、正しい発音はカンヴォイです。
さて、そのカンヴォイの謎ですが、何が謎なのかということがまず謎です。
始まってすぐ死ぬし、弾は小さくて見えないし。
アトランチスも謎だらけでしたが、カンヴォイも謎だらけです。
しかし、この謎、実は船越英一郎も真っ青なサスペンスでした。
何故なら、カンヴォイの謎というのは、カンヴォイの死の謎だからです。
『君の手でカンヴォイの死の謎を解け!』
というのがこのゲームのテーマなのです。

「それではあらためて一連の事件について考えてみよう。少々込み入っているが、順序立てて整理すればさほど難しくはないはずだ。メモの準備はいいね?」
「はい。お願いします、先生」
「よろしい。事件が発生したのは遥か昔。事件現場となったのはトランスフォーマーという機械の体を変形させることの出来る生物が住む惑星・セイバートロンだ。セイバートロン星では、サイバトロンとデストロンという二つの種族が長きにわたって戦争を続けていた。ここまでは良いね?」
「はい、先生。でも、その情報は私の知っているものとは少し違います。私の記憶では事件が発生したのは地球暦2005年。遺体発見現場は地球のサイバトロンシティであり、このときすでにセイバートロン星はデストロンの支配下にあったはずです」
「そう。その通りだ。さすがによく勉強している。しかしそれは今回の事件の話だろう。私が言っているのは、それよりも遥か遠い昔の出来事だよ」
「今回の事件の話をしてください」
「そうかね。今回の事件を紐解くためにも惑星サイバートロンと超ロボット生命体の歴史を熟知しておくことは不可欠なのだが……まあ良い。どうやら君には不要のようだから、そちらの解説は割愛するとしよう」
「被害者はサイバトロン総司令官のコンボイですね?」
「そう。正確にはカンヴォイと発音する。本名オプティマス・プライム。ややこしくなるからここではコンボイで統一しよう」
「被害者はサイバトロンの総司令官。つまり最高責任者ということですか?」
「そうなるだろうね。さっき君が言った通り、事件発生時のセイバートロン星はデストロンの占領下にあった。母星を追われたサイバトロンは、セイバートロン星にある二つの月ムーンベースと地球のサイバトロンシティを拠点として、国民皆兵、故郷奪還の悲願に燃えていたんだ。総司令官であるコンボイは、その当時ムーンベースで全軍の指揮を執っていた」
「待ってください、先生。ムーンベースに勤務していたはずの被害者が、どうして地球のサイバトロンシティで殺されたんです? 彼の遺体はサイバトロンシティで見つかったんですよね?」
「まあそう焦らないで。それには明確な理由がある。ちょうどその頃、地球のサイバトロンシティがデストロンの襲撃を受けたんだ。そこで急報を受けたコンボイ総司令は自ら援軍を率いて地球に向かったというわけさ」
「なんだ、そうだったんですか」
「期待はずれだったかな?」
「いえ……でもそれって本当ですか? 総司令官が常駐していたということは、ムーンベースがサイバトロンの本拠地だったんですよね? いくらサイバトロンシティが重要でも、拠点は拠点でしょう? それを守るために総司令官が出動してしまったら、今度は本拠地の防御が手薄になるんじゃ……」
「うん、さすがに良いところに気がつくね。確かにこの一連の軍事行動には疑問が残る。サイバトロンにせよデストロンにせよ、ことのほか不透明な部分が多い。そもそも地球には鉄壁の防空網があったからね、いかにデストロンといえども、そう易々と突破することはできないはずだった」
「だったらどうして──」
「いや、その件は後に回そう。仮説はいくつか用意できるが、それよりも先に事件の関係者を紹介しなくては」
「関係者……つまり、容疑者ですね?」
「そう取ってもらってもかまわない。ところで君はどの程度コンボイの人間関係を把握しているのかな?」
「私はほとんど知りません。でも総司令官だけに人脈は広そうですね」
「いや、それが実はそうでもないんだ。サイバトロン側では副官のマイスターことジャズ、シティコマンダーのウルトラマグナス、新人戦士のホットロディマス、それから恋人のエリータ・ワン──」
「え、恋人がいたんですか?」
「いたよ。それはいた。なにせ総司令官だからね。しかしもちろん超ロボット生命体だよ。ウーマンサイバトロンといって、女性はみんな未来カーに変身する。彼女はそのリーダーさ」
「そ、そうなんですか。知りませんでした」
「知らないことを素直に知らないと言える人間は尊敬に値するね。しかし、エリータには鉄壁のアリバイがあるから事実上今回の犯行は不可能だ」
「鉄壁のアリバイというと?」
「別の天体にいた。これはどう頑張っても覆せない」
「それはそうでしょうね。すると他の三人には犯行が可能なんですか?」
「不可能ではないだろう。少なくとも地球にはいたのだから」
「なるほど。でも、その三人は被害者の部下で、いわば身内ですよね。被害者は誰からも尊敬されていたと聞いていますが、何か恨みを買うような出来事があったのでしょうか?」
「さあどうだろう。上司というのはどこの世界でも疎まれがちなものだから。表面的には上手くいっていたように見えても、実際どうだったのかはわからない。しかし、犯行の動機が怨恨だとすると、まさにうってつけの人物が一人いる」
「誰です?」
「もちろん、メガトロンさ」
「メガトロン?」
「そう。宇宙征服を企むデストロンの帝王だ。コンボイとは宿敵の間柄だった。彼はいつも「コンボイ、素手でひねり潰してやるわ!」と口汚く罵っていたそうだよ。恨みも殺意も充分にある。そして何を隠そう、事件前日サイバトロンシティを襲撃した張本人がこのメガトロンだったんだ」
「そ、そんな! 帝王自ら一拠点の襲撃を担当したんですか!?」
「そうだ。きっと散々やられ続けて業を煮やしたんだろうね。いずれにせよこの襲撃によってコンボイは地球に赴いたわけだから、サイバトロンシティで二人が遭遇した可能性は極めて高いと考えられる」
「ええ、必然的にそうなったと思います」
「彼にはアリバイもないしね」
「わかりました、先生。つまりサイバトロンシティを襲撃したメガトロンは、そのどさくさに紛れてコンボイ氏を殺害したんですね? 戦争に殺人罪が適用されないことを利用して私怨を晴らした。まさに完全犯罪です」
「順当な仮説だ。この状況では誰もがそう判断するに違いない。しかし、本当にそうだろうか?」
「先生は違うとおっしゃるんですか?」
「さてどうだろう。実際コンボイとメガトロンは事件当日にも諍いを起こしている。目撃者がいるんだ。その証言によると、この日の二人はかなりヒートアップしていて、ついには殴り合いにまで及んだという」
「諍いというか、それが事件現場です。だったらもう間違いありません」
「いや、ところがそうとも言い切れないんだ。というのも君、これが計画的な犯行だった場合、メガトロンの行動はあまりにも杜撰すぎる。そう思わないかい?」
「杜撰ですか?」
「杜撰だよ。彼が襲撃したのは地球のシティだからね。しかしターゲットであるコンボイはそのとき月のムーンベースにいた」
「あ、そうか。そうですね。するとメガトロンには、もともと殺意なんてなかった……?」
「それはわからない。しかし、結果的にメガトロンの利益は少なかったんじゃないかな。むしろ彼はこの戦いで瀕死の重傷を負ってしまい、デストロンは地球から撤退せざるを得なくなった。その後彼は副官の叛逆にあって宇宙空間に投棄されてされてしまったんだよ」
「まあ! 瀕死の帝王を宇宙に投げ捨てるなんて、ずいぶんひどい副官がいたものですね。でもそうすると犯人はメガトロンではないんですか?」
「いや、彼が実行犯であることは間違いないと思う」
「実行犯……つまり先生は裏で糸を引いていた人物がいるとお考えなのですか?それが真犯人だと?」
「事件によって最も利益を得た者こそが真犯人。そう考えるのがセオリーだからね。この事件を客観的に捉えると、サイバトロンとデストロン、両勢力のトップが相打ちになった格好になる。コンボイは死亡し、辛うじて復活を果たしたメガトロンも最終的にはコンボイの後継者によって宇宙の果てに追いやられてしまった。ところで君は、現在のサイバトロン総司令官が誰か知っているかな?」
「ええ、確か、ロディマスコンボイ……」
「そう。以前はホットロディマスと名乗っていた人物だね」
「ホットロディマス……」
「コンボイの部下だったシティの新人戦士だよ。前線の一戦士にすぎなかったか若者が、いきなり全軍の総司令官に着任したわけだ。驚くべき人事だと思わないかい?」
「ま、まさか、それじゃ先生──」
「いや、話はそれほど単純じゃない。もともとコンボイから指揮権を委ねられたのは、シティコマンダーのウルトラマグナスだった。例のゲームの主人公だよ。彼には実績があったし、まずまず妥当な人事と言って良い。ところがどういうわけか、ウルトラマグナスはその地位をあっさり格下のロディマスに譲ってしまった。マグナスはその後もNo.2に甘んじている。実力はトップと噂されているのに」
「……なるほど。何か、渦巻いているようですね。どす黒いモノが……。それで、先生。結局、真犯人は誰なんです?」
「それは謎だ」
「コンボイの謎ですか?」
「そうだ。コンボイも謎だし、村雨城にも謎がある」
「わかりません」
「わからないかい? しかし、それで良いのかもしれない。世の中には解いてはいけない謎というモノも存在するんだ。あのゲームの難易度が異常に高かったのもそのためだろう」
「ゲームを攻略すれば謎が解けますか?」
「保証はできない。しかし、君が望むのなら試してみる価値はあるだろう。もちろん私は御免被る」
「それでしたら私、もう少し頑張ってみようと思います」
「そうかい。好きにすると良い。しかし、その前にきちんと説明書を読まなくてはいけないよ。答えはすべてそこに書いてあるのだから」
「はい。知っています。今日はどうもありがとうございました」
comments(1)
ホンネとタテマエ
こんにちは。類二です。
年が明けてからも寒い日が続いていますね。
あったかいこたつやカイロやお湯などが手放せない季節です。
みなさん、風邪などひいていませんか?
僕は最近、仕事はもちろんのこと、休日も色々と忙しいのです。
というのもですね、私こと類二、なんと先日、ついにマ

類二(闇)「ふはははははははははははははははは」

誰だッ!僕の話を邪魔する奴は!?

類二(闇)「俺様は闇の類二。貴様らを恐怖のどん底に陥れる為にやってきた、地獄の使者だ」

闇の類二だと!?誰だか知らないが、出て行ってくれ!今は僕が話をしているんだ!

類二(闇)「そうはいかん。類二よ。俺はお前の心に眠る、闇の部分だ。いわば類二の影。ダークサイド。普段お前が心の奥底で思っていることをすべて、歯に衣着せぬ辛辣な言葉で代弁してやる。聞くものを凍りつかせ、恐れおののかせ、怒りに震わせ、泣き叫ばせてやろう」

な・・・何だと!
やめろッやめてくれー!!

類二(闇)「くっくっく。何を慌てている。良好な人間関係を保つ為に我慢して閉じ込めている、表向きとは違う自分の本心をさらけ出されるのがそんなに怖いか。そんなものは吐き出してしまったほうが楽になれるのだぞ。この俺様が、貴様に代わって、ひとつ残らず暴露してやるというのだ。いいか。これから俺様が話すことは、すべて貴様が考えていることだ。恨むなら自分の腹黒さを恨むんだな」

ああっそんなっ!
もう誰も類二(闇)を止めることはできないのか!

類二(闇)「おい、ネット対戦のゲームで俺様をボコボコにしてる奴等!ちょっとぐらいゲームが上手いからっていい気になるなよ。そんなものは社会の役には立たん!」

ひいっ!ただのひがみじゃないか!
いいんだ!僕が弱いだけなんだから!

類二(闇)「おい、『ねぇねぇ、人一倍頑張るってことはさぁ、人の一倍だから人×1で、人と同じくらい頑張るってことだよねー変だよねー』とか今さら大発見でもしたかのように話しかけてくる奴等!本気だとしたらレベル1からやり直せ!冗談だとしたら吉本に入れ!」

いいじゃないか別に!
そんなことでそんなに怒る理由がわからないよ!

類二(闇)「おい、笑うこと表すためにwwwwとか連発する奴等!最初何のことか分かんなかったじゃねーか!男なら(笑)を使えっつーの(笑)」

知らなかったからといって八つ当たりするよはよくないよ!
自分だって使ったことあるじゃないさ!

類二(闇)「おい、満員電車で音漏れ激しいヘッドホンのかわいい顔した女子高生!貴様、どんな曲聴いてんのか気になるじゃねーか!」

そこは怒りの方向が違うと思うよ!
ちゃんと注意しなさいよ!

類二(闇)「おい、クリックしただけなのに勝手にダブルクリックになりやがるロジクール製マウス!死ね」

修理出せばいいじゃない!

類二(闇)「おい、一回押しただけなのに勝手にリピートして何重にも同じキーを押したことになりやがるFILCOキーボード!100回死ね」

それも修理出せばいいじゃない!
まあ、それにしても僕が使うマウスとキーボードは不具合出るんだよねー。チャタリング恐怖症。

類二(闇)「おい、東京ディズニーランドのことをネズミーランドとか言ってる奴等!ハァ?何言ってんの?」

親しみを込めてそう呼んでるだけだと思うよ!
いちいち気にしないで受け入れてよ!

類二(闇)「おい、ノロウィルスのことをノロちゃんとかノロさんとか敬称付けてた奴等!あん?病気は友達ってか?」

ずいぶんと懐かしい話題ですね。

類二(闇)「おい、ホイミ!もっと回復しろよボケが」

まだドラクエ4DSやってるの?

類二(闇)「おい、マリオ!その赤さが御自慢ですか?」

そりゃご自慢でしょうよ。

類二(闇)「おい、マリオ!その赤さが御自慢なのですね?」

何で同じ事言うの?

類二(闇)「また来ますね」

お疲れ様でした。
comments(3)
1/2 PAGES >>

このページの先頭へ