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2014/11/8 更新してないねぇー ねたはあるんだけどね
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明日に向かって考えろ
WINGはウィングだけれど、読むとウウィングと言っている。
書くときはウィングが良い。
ウという文字はワに点がついてるだけで、
ワに点がついてるだけの形だと思ってウを見ると、
余計なモノがくっついているみたいでなんだか気持ちが悪くなる。
ウウウウウウウウウウウウウウウ。
が、そんなことはどうでもよろしい。





第一問
象は、だいたいエレファント。
虎は、概ねタイガー。
河童は?


難問だ。
言うまでもなく漢字の使用が難易度を上げている。
いや違うな。たとえ漢字であったとしても、
「河童」が「合羽」であればもはや答えを言っているに等しい。
普通の感覚であれば、せめて片仮名で
「ゾウはエレファント、トラはタイガー、カッパは?」
と、さり気なく文中に「カッパ」をねじ込み、
曖昧な表現を用いることで解答者を惑わせようと試みるのだろうが、
この設問ではそういった小細工をいっさい使っていない。
むしろ、堂々と男らしく「河童」と断言してしまっている。
このことから導かれる事実は、
問題制作者が五割の確率で男である、ということ、
制作者は全身肝っ玉の持ち主である、ということであり、
よってその人物は趙雲である、ということになる。

さて、もう一点、考慮すべきなのは「河童は?」という疑問文が、
いったい何について質問しているかということだ。
この部分を明確にしておかないと、
「河童は愚かである」「河童は焦がしてはいけません」
という解答でも○をもらえてしまう。
勝手な判断は危険なので、問題文をよく読んで考えよう。
言うまでもなく、この問題では、最初の二行がヒントになっており、
そこから三行目の解を導くようにつくられている。
例を挙げるなら、問が
「一郎は長男、次郎は次男、では三男は?」
であり、解答は、
「三郎」「三男」「みつお」「貰いっ子」
などが考えられる。

> 象は、だいたいエレファント。
> 虎は、概ねタイガー。

今回の設問ではこの二行がヒントになるわけだが、
もちろん英訳を求めているわけではない。
仮に、
「象は、だいたいパオーム。
 虎は、概ね灯台タイガー。
 河童は?」
という問題であれば、少し悩んだ後に「おそらくガメゴンロード?」
とでも答えておけばよいのだが、そういうわけにもいかないらしい。

!!

というマークを入れると、いかにもここで気がついたようだが、
「だいたい」「概ね」とは何だ?
これが問題を解く重要なヒントではあるまいか?
と、今更のように書き連ねてみる。

それはそうなのだ。
だいたい、英訳をカタカナ表記すればよいのなら、
「河童」は当然「カッパ」である。
あるいは、「河童の川流れ」を和英辞典で調べて、
「スイマー」とややひねくれてみるのも良いだろう。
それは、侍がサムライであるのと同じことであり、
フジヤマ、ハラキリ、ゲイシャ、スキヤキ、バンザーイと同類である。
しかし、今回の問題に関しては、
そんなことは無論どうでも良い。
重要なのはその前にくるであろう副詞だ。
ここまでくればもう解答は近い。
思いつく順に列挙してみよう。

「ときどきカッパ」
「やっぱりカッパ」
「いわゆるカッパ」
「されどもカッパ」
「しかるにカッパ」
「あらゆるカッパ」
「ぼんやりカッパ」
「めっきりカッパ」
「ちかぢかカッパ」
「わりとカッパ」
「まるでカッパ」
「みためカッパ」
「カッパ・ソ・ノモノ」
「カッパ・デル・ソーレ」
「カッパ三色ツモドラ三」
「ライ麦畑で捕まえて。カッパを」
「立海大付属カッパ」
「カッパ少年漂流記」
「泣いて馬謖を斬るカッパ」
「さわやかな酸味とほのかな甘さの100%カッパです」
●天然のカッパを使用しているため、栄養成分が多少変色することがあります。
**正しいカッパの開け方**
[昌悗髻悗△韻ち』に差し込んで……
∈険Δ亡袷瓦帽げ……
親指と人差し指を両端にあて徐々に『注ぎくち』を手前に引き出して下さい。

なんか怖いなぁ。

解答

 河童天国 わりと普通な 露天風呂

注)箱根にあります。





第二問
ブーメランを投げてから戻ってくるまでの間に余裕を持って
食べる事の出来る魚はどんな魚でしょうか?
(注)「戻ってくるまでの時間による」とかはナシよ


ニモ。

いやあ、魚じゃなくてね、妖精だったらね、ブーメラン投げてても、
結構、余裕を持って食べられると思うんだけどね。
ハート七個回復で。

うーむ。つまり、「時間による」がハズレということは、
実際にどれくらい時間的余裕があるかは関係ないわけだな。
投げたブーメランが川に落ち、そのまま紛失してしまって人手に渡り、
数日間戻ってこない、という状況を想定してみたのだが、
これはそういう現実的な問題ではないと。
すると、とんち系か。
しかし俺はあくまでもひらめきには頼らない。
コツコツと理屈を積み重ねていく。
この問題のポイントは、おそらくブーメランと魚だ。
だいたいからして、ブーメランを投げて戻ってくるまでの間に、
魚を食べようなどと思うヤツはまずいないはずで、
そういうわけのわからない設定だからこそ、問題として成立するのだろう。
と言うことは、ブーメランをブーメンランに置き換えては駄目だし、
魚も寿司や天ぷらでは駄目なのだ。
ブーメランや魚の定義をあらためて確認する必要はない。
「投げて」の主語、「戻ってくる」の主語、「食べる」の主語は
どれも語られていないので、英訳があると多少分かりやすくなるかもしれない。
しかし、これもまず常識的に
私がブーメランを投げて、そのブーメランが戻ってくるまでの間に、
私が食べることのできる、
としておこう。
ここが間違っていると絶望的な気もするが、もしこれ以外の設定であるなら、
予め要点が問題文に組み込まれているべきであり、
故意に外してあるなら問題文に問題があることになる。
(例えば、「北海道に嫁にいった姉がブーメランを投げて、
その姉が離婚して東京の実家に戻ってくる間に、
実家にいる猫が余裕を持って……」などというよう場合)
「余裕を持って」というのも、何に余裕を持つのか定かではないが、
魚を食べるのに余裕を持つのだから、時間的にとか、気持ち的にとか、
そういうことなんだろう。
気持ち的に余裕を持てば良いのなら、別に、
「投げたブーメランが戻ってこようと、気にせずに食べていたら良い」
ワケで、それならどんな魚だって食べることはできる。
しかし、それは違うような気がする。
どんな魚か、と限定して質問されているのだから、
どんなのでも良い、では駄目だろう。
「食べることができる」は「食べきることができる」とするべきか。
正解の可能性としては、
実際に魚の種類を挙げて、その文字列が別の意味に取れたり、
駄洒落めいた関連を示していてたりして、聞いてまあ納得というパターン。
(例として「リュウグウノツカイ」をあげようと思ったが、
これはそれ以外に意味を見つけられそうにない。
「メガマウス」なら、眼鏡済みとか、目が鼠とかでいける)
それから、魚の種類ではなくて、「○○ウオ」「○○ギョ」的な言葉を挙げて、
「パンはパンでも食べられないパンは?」というノスタルジックなパターン。
或いは、やはりブーメランが我々の思い描いているブーメランとは異なっていたり、
「ブーメランを投げる」「余裕を持って食べられる」等の行為が、
通常の解釈とは異なっていたりして、問題文に落とし穴のあるパターン。
他にも、「この問題に答えなどないのだよ関口君」と
出題者に開き直られてしまうパターンなどもあって、
これはなかなか考える方向性を見定めるのが難しい。
そもそも出題者は何故このような問題を出したのだろう、
いったいどうしてしまったのだろう、などと考え始めればまさにドツボである。
差し当たって俺に言えることは、

> 問題です。
> ブーメランを投げてから戻ってくるまでの間に余裕を持って
> 食べる事の出来る魚はどんな魚でしょうか?

食べやすい魚だと思います。





第三問
全然雨が降らない地方でも、ある祈祷師が祈ると、
かならず即座に雨が降るそうです。なぜでしょう?


なにを今更そんな問題をと完全になめてかかり、
なんでぇ、それくらい俺にだってできらぁ、
と、べらんめい調を気取るつもりだったけれど、
> かならず即座に雨が降るそうです。
だって?そんな馬鹿な。
いや、これは難問だ。真剣に考える必要がある。
では、この問題のポイントどこか?
二つある。
・全然
・即座に
これだ。もしこれが、
「全然」→「ほとんど」
「即座に」→「いつか」
であれば、すでに解答を述べているに等しい。

とりあえず素直に考えてみよう。

> 全然雨が降らない地方でも、

この、「全然」はどうとらえるべきか。
全くもって雨が降らないということなのか。
降水確率常に0%か? いや、天気予報は当てにならない。

通常、「全然」という言葉の後には打ち消しの言葉が続く。
「全然先に進めないよ、このカラテカ」
これは正しい用法であり、かつ現在のところ普遍的な事実である。
しかし、「全然」の後に否定文をつなげない場合もある。
「全然最後まで進めるよ、カラテカ」
これは間違った用法ではないが、現在のところ事実とは異なる。
(*あのギロチンの場所を最後と定義している人には事実となる)
例文が不適当なので別の例を挙げると、
「全然速い」「全然怖い」「全然牛」などだ。
後ろに打ち消しの言葉をつなげない場合、
「全然」は「非常に」「とても」というような意味を持つといえる。
それでは設問はどうか。
「全然」→「雨が降らない」と続いている。
これは「全く雨が降らない」と解釈して良いだろう。

このことから導かれる事実は、
設問の「地方」は「地球上には存在しない」ということである。
(「地方」の範囲を常識的に解釈した場合に限る)
大気や水がある時点で雨が降る確率は0%ではない。
(雨を定義してください、と返すのは容易だが、
一般的な共通認識をあえて定義してもらっても、
その回答が予測を裏切るようなことはないだろう。
そういうレベルの確認作業は時間の無駄である)
もちろん、大気がない月のような衛星であっても、
今後の技術革新や環境の劇的な変化によって、
雨が降るようになる可能性は残される。
よって、これらも完全に条件を満たすサンプルとはならないわけだが、
設問が現段階での状況を想定したものであると仮定して、
「雨の降らない地方」を月面としても何ら問題はないだろう。
地方の解釈に幅を持たせるのであれば東京ドームでもよいし、
これは以下の説明に関わってくることだが、
実在しない仮想空間であってもよい。

次の文節に進もう。
> ある祈祷師が祈ると、

あるきとうし
  ↓
歩き通し≪「あるきとおし」の誤り≫
と表示されるのは非常に悔しい。

ある祈祷師とは何者か。
祈祷師とは言うまでもなくドラゴンクエストのモンスターである。
ただ、ゲーム中の表示が「きとうし」であるため、
「鬼闘士」「騎闘士」「鬼頭氏」「木と牛」などのパターンも予測できる。
「きとうしのあいだにきとうしがいる」という少女の証言や
ファッション、性質などから判断して「祈祷師」が妥当であろう。
この時点で、設問によるところの「地方」とは、
「ルプガナ地方」であることが判明した。
「きとうし」の主な生息地はルプガナである。
たしかに、あのあたりといわず、あの大陸では雨が降らない。
なぜならば、かの地は地下世界なのだから。

それでは祈祷師の検討に戻ろう。
一般的な「きとうし」の能力として、
「マホトーン」が使用可能であることが知られている。、
しかし、雨を降らすような能力に関しては何ら報告がない。
せめてヒャド系が使えるのであれば多少の可能性を考慮する必要もあるが、
そもそもかの地にはヒャド系呪文自体が存在しないため、
「修行を積んだきとうし」などの存在を予測する必要はないだろう。
ダーマ神殿がないため、転職の可能性もない。
また、「ある祈祷師」ということから、
モンスター「きとうし」全般を指しているのではなく、
たくさんの「きとうし」のなかの一人を示していることがわかる。
一般的な「きとうし」とは異なる存在であることだけ記憶にとどめて、
先に進もう。
この特殊な祈祷師が祈ることになる。
祈りを捧げる相手は不確定だが、順当に判断するのならば、
やはり「ハーゴン様」であろう。

> かならず即座に雨が降るそうです。

ここでのポイントは「雨が降らない地方に雨が降る」という矛盾である。
しかし、これは最初に検討した「全然雨の降らない」の認識を改めれば、
あっさり解消することができる。
すなわち、雨が降るという事実がある以上、
当初の設定であった「全然雨が降らない」は否定されることになり、
設問を破綻させないためには、
「極めて希ではあるが、雨が降ることもある地域」
と再解釈する必要がある。
雨の降る可能性がわずかでもあれば、祈りを捧げた後、
数千年後に雨が降っても条件を満たすことができる。
しかし、すると問題になってくるのは「即座に」という部分である。
「即座に」をどの程度の時間的長さに見積もるかは人それぞれだが、
特に指定がない場合は常識的な判断に委ねるのが無難である。
「即座」→「すぐさま」
一〜六十秒くらいに設定しておけば、反論は少ないと思われる。

これでほぼすべての境界条件は整った。
のこすは

> なぜでしょう?

この問題提起部分だけである。

もう一度設問を整理しておこう。

「極めて希ではあるが、雨が降ることもあるルプガナ地方で、
一般とは異なるグループに分類される、
ある『きとうし』がハーゴン様に祈りを捧げると、かならず即座に雨が降る。
なぜでしょう?」

・「ルプガナ地方」を定義してください。
・「きとうし」を定義してください。
・「ハーゴン様」を定義してください。

よけい複雑になつてしまつた。

それでも、雨はいつだって、世界のどこかで降っている。
comments(3)
約束の地
おれは将来有望な若手SEだ。
今日は客先へ、自分が手がけたシステムをメンテナンスしに行く日だ。

急に便意をもよおした。
某地下鉄駅で電車から降りた瞬間のことだ。

おれは焦った。
油断していた。かなりの不意打ちだ。
『大』の方面に向かって、波はやってくる。
しかも迫っているのはかなりの大物とみた。
その波は、近年まれにみるほどの
ビッグウェーブとなって、一気に尻に押し寄せてくる。
一刻の猶予も許されない状態だ。
すぐにトイレを探さなければならない。

しかし、おれは社内でも将来有望な若手SEある。
バシっとスーツを身にまとい、手で尻を押さえて
小走りでトイレに駆け込む姿など、たとえ赤の他人で
あっても見られたくはない。
おれにもプライドがある。
こんなときでも顔は平常を装うことを忘れてはならない。

それにしても、一体何が原因だ?
ランチで食べた寿司でも当たったか。
それとも朝食のシリアルにかけた牛乳が賞味期限切れだったか。

混雑している地下鉄駅のホームを、
とりあえずエスカレータに向かって歩きながら、
おれは自分の持てる集中力の50%を尻に力を入れることに使った。
残りの50%で、自慢の頭脳をフル回転させることにした。

まずは、トイレを探すことだ。
この駅に関する情報を、脳から検索し、「トイレ」で絞り込む。

脳内検索の結果、この駅には、
今向かっている先にあるエスカレータを上らずに、
さらに歩いてホームの端まで行けば、トイレがあることが判った。
(正確に言うと、思い出した)

トイレがあることさえ判れば、非常事態とはいえ、
必要以上に慌てることはない。
落ち着いて、なるべく尻に振動を与えないように心がける。

サラリーマンとして培ってきた早足で、
エスカレータへ向かう人波を縫い、トイレへ向かう。

エスカレータのある場所を過ぎれば、邪魔な人はいなくなった。
ホームの先にトイレのマークを確認した。
あとは一直線だ。

トイレの「大」が空いていることを祈りながら足早に歩く。
地下鉄特有の蒸すような空気もあってか、
冬だというのに額にはうっすらと汗がにじんできたようだ。

トイレに到着。地下鉄駅のトイレのため薄汚く、
普段だったら使う気になれないような環境だが、
この際仕方がない。

「大」の個室は2箇所。
しかし2箇所とも、使用中を示す赤い色が
ドアノブに表示されていた。
最悪の事態だ。

あわててはいけない。
自分と、自分の尻を落ち着かせる。
大の波は予想以上に大きく、尻の防波堤は既に限界を超えている。
おれは尻に割り当てる力を80%に増加させ、
必死で波を食い止めつつ、個室が空くのを待っていた。

幸運にも、1箇所の個室がすぐに空いた。
助かった。
しかし、前の人と入れ違いに個室に入ろうとした、そのときである。

・・・紙がない!

都会の地下鉄のトイレは、基本的に紙がないのである。
尻に力を入れすぎたあまり、思考能力が低下し、すっかり
そのことを忘れてしまっていた。

紙がないとはいえ、トイレの入り口には紙の自動販売機がある。
慌てるな。紙がなければ買えばいいだけのことだ。
財布を取り出して紙を買う時間ぐらい、尻は持ってくれるはずだ。

しかし、追い討ちをかけるように新たな事実を
思い出してしまった。
小銭を持っていないのである。

紙の自動販売機は100円硬貨専用である。
100円玉は、先ほどタバコを買う際にすべて使ってしまっていた。
財布の中身を確認しなくてもわかる。

おれは必死に考えた。
尻に力を80%を使っているため、思考能力は
平常時の20%まで低下している。
それでも、何とかこの状況から脱する策を見つけなければならない。

思考をめぐらしているうちに、一つの記憶を呼び起こすことに成功した。

この地下鉄駅は、大手デパートと直結しているのである!

なぜこんな簡単なことが判らなかったのだろうか。
デパートのトイレならば紙は常備されているし、
掃除も行き届いていて非常に清潔だ。
ウォシュレット付きの洋式便器にありつける可能性もある。

おれは即座にデパートへ向かうことにした。
デパートは、エスカレータを上って改札を抜ければすぐそこだ。

しかし、歩いてほんの数分の距離の、なんと遠いことか。
波の勢いはさらに増し、今にも外界へ飛び出さんばかりの
勢いで尻の堤防を破りにかかってくる。
こんなときのために、もっと括約筋を鍛えておくべきだった。

エスカレータを上ったあたりまではなんとか
平常を保つことができていたが、
デパートに入ってからは気が気ではなかった。

デパートに入る際に、横目でフロア案内板を確認する。
幸いトイレの場所はすぐ判明した。

トイレまで最短距離で行くには、女性下着売り場を横切る必要がある。
しかし、今はプライドなど気にしている場合ではない。
小さなものを気にするあまり、
より大きなものを失ってしまう可能性すらある状況だ。

顔には玉のような汗が浮かぶ。歯を食いしばる。
尻に力を入れているため、やや不自然な格好で
トイレに向かって歩いていたが、一歩歩くごとに振動が尻に響く。
波の勢いはとどまることを知らない。
堤防はもはや決壊寸前だ。

女性客や店員の視線が突き刺さるように感じるが、
構っていられない。きっと錯覚だ。
おれが今、目指すものはただひとつ。
目的の場所に向かって、一歩づつ、歩いていく。
確実に距離は縮まっている。

やがて、トイレが見えた。
間一髪、助かったか・・・。
そう思ったのだが、現実はそう甘くなかった。

この階には女子トイレしかないのである!

おれは自分の運の悪さを心の底から呪いつつ、
もはや停止状態に近い自分の頭脳を無理やり回転させる。
今や尻を押さえることに100%の力を割り当てているため、
ほとんど何も考えることができない。
それでも、おれはトイレを探さなければならない。
女性用トイレに入ることだけは絶対にできないのだ。
男には、たとえすべてを失おうとも、守らなければならないものがある。

やがて、ひとつの結論に達した。

この階のトイレが女性用しかないのであれば、
次の階なら男性用トイレがあるのではないか?
デパートなどの大型商店にはよくある仕様ではないか。
なぜすぐにそのことに気付かなかったのだ。
悶絶の表情を浮かべながら、
女性下着売り場と女性用トイレの間をうろうろしている場合などではない。

ではさっそく次の階へ・・・。

しかし、即座には動けなかった。
行き当たりばったりで行動しては、また失敗する可能性があったからだ。

どうやって行けばいい?
ここからならば、階段がすぐそこにある。
その階段を使い、上の階まで上りさえすれば、
男性用トイレはおそらく目の前にあるはずだ。
しかし、おれの尻が、階段を上ることにより発生する
強大な振動に耐え切れるのだろうか?
それに、階段を一段上るためには、足をおおきく開かなければならない。
尻の防御力が大幅に低下することは確実だ。

エスカレータで上の階まで行くルートならば、
少なくとも振動は極力抑えることが可能なはずだ。
しかしその際ネックとなるのが、距離と時間の問題だ。
ここから再びエスカレータの場所まで下着売り場の
真ん中を通り、エスカレータで上の階まで上がり、
そこからまた、だいぶ歩かなければ
トイレまでたどり着けないだろう。
これでは時間がかかりすぎないか・・・?
だが、これなら尻のガードを100%に保ったまま、
小刻みの歩幅で歩けば何とかなりそうな気がする。

ガードを緩くして最短距離を取るか、それとも
ガードは最強にして遠回りルートを取るか・・・。

ほんの一瞬以下の時間であったはずだが、おれは
十分に逡巡、検討、シミュレートした結果、
最短距離である階段を使って上の階まで上がるルートを
選択することを決断した。

平日とはいえ都心のデパートは人が多い。
だが階段を使用する人は少ないと思われるため、
他人の好奇の目に晒される危険が少ないという、
わずかに残っていたプライドが
この選択を決定したといえる。それに、
上体を反らし気味にし、尻の筋肉を引き締めながら
内股で歩く姿を、もうこれ以上人目に晒すわけにはいかなかったし、
最悪の最悪、尻の堤防が決壊してしまった場合でも、
売り場の真ん中やエスカレータ上でやってしまうよりは、
あまり使われていない階段のほうが、多少なりとも
被害(他人や器物に与える被害も含めて)は抑えられるだろう。
(この場合、どちらにしてもその後の人生に多大な影響が
発生するのは間違いないが)
そうした総合的な判断の結果である。

意を決し、階段を一歩ずつ上がっていく。
筋肉をフルにして尻を引き締めながら階段を上がるのはやはり難しい。
これでは時間がかかりすぎる。

ここは一気に勝負を決めるしかない。

おれは尻の筋肉が緩くなるのを覚悟しつつ、大技中の大技である
階段2段飛ばしを試みることにした。

2段飛ばしで5〜6歩行けば踊り場までたどり着くだろう。

一歩上るごとに、屁が出る。やはり振動が大きすぎるのだ。
しかし、もはや屁などに構ってなどいられない。

あと少し。
楽園まで、距離にして数メートル、歩数にして20歩程度だ。

あと20歩だけでいい。
おれの尻よ。頑張ってくれ。持ちこたえてくれ。

なんとか踊り場までたどり着いた。階段はあと半分。
デパートの階段など、客は使わないと思っていたが、
以外にも利用する人の数は多いようだ。
明らかにおれの尻から発せられる屁の音と匂いで、
もうすっかり不審者扱いだ。

OK。それでいい。ギャラリーは多いほど燃えるタイプだ。
もはやおれの目には、周りは見えない。何も聞こえない。
五感すらも断ち切って、すべての力を尻に使っているのだから。

意を決して、階段の後半戦に挑む。
無理な体勢で無理な運動をしているため、
息が切れそうだ。喉が渇く。汗が止まらない。

ようやく階段を上り切った。
しかし、それと同時に、最後の屁まで出てしまった。
尻のオペレータがそう報告してくるのがわかる。
あわてて括約筋に力を入れ直す。
次に尻に大きな振動を与えた場合、屁などという
生易しいものではなく、いよいよ本体が登場してしまうというわけだ。

しかし、安心しろ、おれ。
トイレは目の前に見えている。
安寧の地。約束の場所。おれが求めつづけていたただひとつの
ものが、そこにはあるのだ。

もうプライドもすべて捨て去った。
今は自分の両手で、尻の筋肉と共に全力で波を抑えている。
だれがどう見ても、『トイレに行きたくて最強にテンパっている人の図』だ。
だが慌てるな。
あと少しだ・・・。

トイレにたどり着いた。
もちろん男性用のトイレだ。

個室は1箇所。
ドアノブの状態を確認する。

・・・使用中を示す赤い色。
もうだめか。
小便器でしてしまうしかないのか。
そう思った瞬間だった。

ドアの向こうから水の流れる音が聞こえ、
ほどなくしてノブの色が青に変わり、ドアが開き、中からおっさんが出てきた。

神よ!

入れ違いで個室に入る。
思ったとおり、洋式の便器だった。
やはり地下鉄駅のトイレなどとは違い、掃除が行き届いている。
残念ながらウォシュレット付きではなかったが、
紙も予備が二個分あり、余裕の大容量だ。
おれが大をするにはふさわしい場所と言える。

ズボンをおろし、まだなまあたたかい、おっさんの
ぬくもりが残る便器に座る。
そして、今まで酷使し続けてきた尻の筋肉を一気に緩めた。

我先に、と次から次へ波はあふれ出てきた。
あわてなくていい。お前たち。
お前たちが皆外に出るまで、おれはここでじっとしていてやる。
今まで我慢させてしまって、申し訳なかったな・・・。

そう思い、今まで耐えてくれた尻と、「波」たちに
感謝しつつ、一息ついた。
それにしても、決して大きいわけではないおれのからだのどこに
こんな奴らが格納されていたのだろう。
そう思えるほどの放出量だ。この後体重を量ったら、きっと3キロは
減っているに違いない。

そのとき、空気に異変を感じた。

それまでおれの体は極限状態にあったため気付かなかったのだが、
この個室、かなり臭い。強烈な臭気を放っているではないか。

もちろん、自分の尻から発せられる、嗅ぎなれた臭さではない。
非常に不快な、他人の「大」の臭さなのである。

おそらくは、入れ違いに出て行ったおっさんの大の臭いだろう。
こんな臭さ、生まれて初めてとも言えるほどだ。
生死にかかわるほどの悪臭だ。さらに、慣れているはずの
自分の大の臭いまで加わって、さらに攻撃力が増している。
このままでは耐え切れない。
果たしてここは天国なのか地獄なのか。
一難去ってまた一難。
とりあえず、一瞬息を止めて、今後の対策を考えることにした。

口で息をすれば、臭いは感じなくなるだろう。
しかし、他人の大の残り香を口いっぱいに吸い込むことには抵抗がある。
しかし、鼻で息をしたところで、その臭気を思い切り
味わってしまうことになる。
しかも、おれの「大」の勢いはとどまることを知らずに
とめどなく放出されつづけている。
今から別の場所のトイレに向かうのは困難だろう。

このままでは八方塞がりだ。四面楚歌とはこのことか。

しかしおれの体は、さっきまでの戦いで
パワーを使い果たしてしまっていたため、
酸素が欠乏している。これ以上息を止めていられない。
今日は無事にトイレにたどり着けただけでもよしとするべきだろう。
トイレが臭いことなど、大した問題ではない・・・。
そう思うしかなかった。

おれは観念し、息を吐いた。
そして、苦しい肺に空気を送り込むため、
その個室に残る臭気をすべて受け止めるがごとく、
口と鼻で大きく息を吸い込んだ。

おれはその後、客先に行くことができず、
体調不良を理由に家まで直帰した。
comments(5)
チュパカブラのぼやき
チュパカブラ「・・・ゲームかいて〜」

チュパカブラ「なんか・・・はらへったなあ・・・はぁ〜」

チュパカブラ「捨てる神あればなんとやら・・・・って。なんで最後まで言わないんだ?言えよ・・・まったく。」

チュパカブラ「死にて〜よ。まったく。やってらんらいよな。」

チュパカブラ「風呂のあとはやっぱ、・・・コーラだな。ペプシは邪道っていうな!!怒るぞ!マジで!?」

チュパカブラ「・・・俺って・・・・クリーチャーなのかなあ・・・・」

チュパカブラ「美人とつきあいて〜」

チュパカブラ「¥^¥^¥@mcン「d;q¥ア@「」¥・。。。・bンm・」「¥ンsbcなkjdbふぃhn!!!」

チュパカブラ「・・・・・・がじがじ?・・・・・」

チュパカブラ「(・。・;」

チュパカブラ「むじゅら むじゅら むじゅら?」

チュパカブラ「なんか・・セキがでるな・・・ガンかな・・・まあ・・・ガンでも別にいいか・・・」

チュパカブラ「モアイに人生を説かれたよ〜」

チュパカブラ「なんだかな〜こんな人生おくってもな〜。むなしいな〜」

チュパカブラ「・・・・ふう・・・・人生って不公平ゴロ」

チュパカブラ「なんだよ〜。もうクリスマスの時期かよ〜。世の中浮かれてたってどうせ俺には関係ないんだよな〜」

チュパカブラ「クリスマスってなんだ?しらねーぞそんなもん!ただの日曜日じゃねえか!!」

仮面の騎士「やあ!チュパ君。相変わらずボヤいてるね!」

チュパカブラ「なんだよ〜。お前かよ〜」

仮面の騎士「なんだよ。つれないUMAだな。相変わらずネガティヴな君に朗報を持ってきてやったのに。」

チュパカブラ「お前の話聞いたって俺が虚しくなるだけだよ〜。早く帰れよ〜」

仮面の騎士「まったく無愛想なUMAだな。おっと!馬上の上から失礼するよっ」

仮面の騎士は颯爽と馬から降りる。

仮面の騎士「ハッハッハッ!アンドロメダス(馬の名前)少し寂しい思いをさせるが少々この貴い主の我がままを許しておくれっ!」

仮面の騎士「チュパ君、君、今年のクリスマスはどう過ごすつもりかね?」

チュパカブラ「普段どおり、なんにもなく、平常どおりに家にいるよ〜クリスマスなんて俺の生活には全く関係ないよ〜」

仮面の騎士「ハッハッハッ!そうだと思ったよ!ではロマンチックな彩りの飾る神聖なイヴの夜の予定は例年通り『ない』と言う風に解釈してもいいのかね?」

チュパカプラ「お前もしつこいな〜だから早く帰れと言ってるんだぜ〜」

仮面の騎士「では今年のイヴは少し私に付き合いたまえ。」

チュパカブラ「なんだよ〜。何するんだよ〜。面倒くせーな〜」

仮面の騎士「私と『メイド狩り』にいくのさっ!『アキバ』へ!」

チュパカブラ「メイド・・・狩り・・・!?」

仮面の騎士「そうさっ!メイド狩りだよ。読んで字のごとくメイドを狩るのさ。」

チュパカブラ「あの『萌え〜』とかいうヤツか・・・?」

仮面の騎士「そうだね。秋葉原にいる『萌え〜萌え〜』なメイドさんをどんどん狩っていくっ!狩って狩って!メイド100人狩りさ!」

チュパカブラ「・・・かっ狩って・・・どうする!?」

仮面の騎士「狩ったんだからね!もうキミの『モノ』さ。狩ってきたメイドは、もうキミの『メイド』なんだよ。『お帰りなさいませ』も『いってらっしゃいませ』もすべてキミの思いのままさ―――」

キミが『ご主人様』なんだからね――と彼は結んだ。

チュパカブラ「・・・お・・・思いの・・・まま・・・なのか?」

仮面の騎士「そりゃそうさ。狩ってきたメイドさんはキミのモノなんだから。似るなり焼くなり、キミの意向しだいさ。どうだい?狩りたくなってきただろう?」

チュパカブラ「・・・ゴクリ・・・」

チュパカブラ「そ、それじゃあ…今年のクリスマスはずっとボヤいていなくてもメイドさんと一緒に過ごせるって・・・事なのかよっ!」

仮面の騎士「ボヤきたいならボヤいてい給え。でもキミだってボヤいてばかりのイヴよりも素敵なイヴの夜を過ごしたいんだろう・・・?」

チュパカブラ「・・・・・ネタ・・・・切れだな・・・・」
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あります。
あります。
脳。
昆虫にも。
蚊とか、蝿とかクワガタにも。
脊椎動物のそれとは少し仕組みが違って、微小脳というそうです。
文字通り微小。神経の集まりが頭の辺りにある。
これが記憶力もあれば学習能力もあるというのだから、驚きです。
が、確かに言われてみれば、
アリやミツバチのように高度な社会性を持った昆虫に脳がないというのは
ちょっと失礼な話かもしれません。
一寸の虫にも五分の魂。
これも「脳があるなら……」と考えてみると、なるほどなーとも思えますね。

まあ、俺はそんなモン認めねぇがな。

カブトガニやトンボなどが我々人類とはあまりにもかけ離れた姿をしており、
あまりにも違った生態を持っているのは、進化の過程において
彼らが遥か太古の時代に我々の祖先から分化したことを示しています。
きっと誰もが認めてくれるでしょうが、あれらはまるで別の生き物だ。
するとやはりその脳に関しても同様であり、
昆虫や甲殻類の微小脳は我々脊椎動物の脳の発展途上ではなく、
この地球上に現れたもう一つの別のタイプの脳と言うことができます。
そしてそれは脊椎動物の脳が進化してきたのと同じ時間をかけて発達してきたわけですから、
脊椎動物タイプの脳よりも劣っているということはない。
その根本から異なるのなら比較することはできません。
彼らは彼らで好きにやっている。
故にいくら育てても我々のようにはならない。
つまり、何億年も先の遥か遠い未来に出現するであろうタコ人間、
あるいはウルタン・エンサ族なども、脊椎動物とは異なる脳の仕組みによって、
我々と同じ物理世界にありながら、
まったく違った宇宙の法則を導くのでありましょう。
カニやウルタン・エンサに人間の常識が通用しないのは当たり前ということです。
ちなみにカニみそは中腸腺という消化器官で、
肝臓と膵臓の機能を併せ持ちます。
つまりカニのレバーです。
カニみそというと美味しそうな印象ですが、カニレバーはどうでしょう。
カニレバ炒めとか、美味しそうな気がしないでもないですが、これは余談。

ところで、アリとミミズとではどちらが高等な生き物か。
大きさでは圧倒的にミミズです。
アリは指で弾かれたり、靴で踏まれたりして
わりとあっさり殺傷されてしまいますが、ミミズはそうはいかない。
道端でよく潰れているのを見かけますが、あれをやるには車が必要。
ミミズは釣りの餌にもできますし、ワームとか呼ばれるとちょっと格好良い。
僕は断然ミミズを支持したいです。
土を肥やしてくれるし、ミミズがいるのは良い畑の証拠なんですね。
けれどもしかし、アリには小さいながらも脳がある。
ミミズにはない。
ないです。
脳どころか他の器官もほとんどなくて、あるのは消化管。
ミミズの身体のほとんどは消化管でできています。
もう食って出すだけ。
だからあんな腸管のような格好をしている。実に単純な野郎です。
一般に下等な生物になるほどその構造が単純になり、
最も単純なものになると本当に消化管しかなくなってしまう。
それでもミミズはちゃんと生きているし、繁栄しているのだから、
脳がなくても案外やっていけるのかもしれないなーと思います。
逆に言うと、脳よりも消化管の方が重要ってコトなんじゃないでしょうか。
一番シンプルってことは、必要最低限ってことですから。
それがないと成り立たちません。

ああ、そうか。
もしかするとミミズはむしろそれを誇りに思っているかもしれない。
「脳? 何だそりゃ、俺ァただシンプルに生きてぇんだよ」
やっぱりミミズは偉大でした。
脳のあるなしで高等下等を分けるなど、結局人間のエゴに過ぎません。
人間の脳は確かに巨大だが、
ミミズの身体全体に占める消化管の割合に比べたら遥かに小さい。
しかも消化管というのは脳の制御なしでもオートで動く。
つまり、ミミズにとっては消化管それ自体が脳なのだ、
つまり、ミミズは全身ほとんどが脳なのだ、
と言っても誤りではない。ように思えます。
もっとも、生命の根源が消化管だと思うと些かげんなりもするのですが……。
まあ良いでしょう。これからは消化管を一番に考えましょう。
魂が宿っているのは脳ではなくて消化管なのだということにしないと、
ミミズの立場がありません。
一寸のミミズにも五分の魂。
それを言うためには「消化管があるから……」と考えなければならないのです。
それにしても不思議なのは、人から見るとアリもミミズも
そんなに大差ない生き物のように感じることですね。
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アルファベットのイメージ

A。なんだかお高くとまっている感じがする。プライドが高そう。
B。優しそう。お母さんタイプ。包み込んで欲しい。
C。子供。どちらかというと悪ガキかな。いつも野球帽かぶってるような。
D。一匹狼。我が道を行く。でもあんまりかっこよくない。
E。男前だし人気あるけど心の中で他人を見下すタイプ。
F。小物のくせに、人気のあるEにぴったりくっついて威張る。スネ夫みたいに。
G。かっこいいね。整った顔の俳優タイプ。
H。やらしいイメージしか出てこない。ちょっと不憫。
I。弱そうだなあ。
J。次元大輔に似てない?
K。陽気だね。うきうき。ジャニーズ系。
L。とても素直な性格の持ち主。正直でいい人なんだけどもてない。
M。隙がない。すばしっこそう。
N。いつも陽気な人気者。みんなのリーダー。
O。なんか頭悪そう。
P。どことなく女性的、というか少女的。
Q。幼児。
R。Pと違って大人の女性に見える。キャリアウーマン。
S。中性的。宝塚のような。
T。頑なな意思の強さを持っている。周りの意見に流されない。
U。バレリーナのように可憐。
V。悪役バレリーナか。Uのトゥシューズに画鋲とか入れそう。
W。モンスターにしか見えない。
X。ラスボスだよね。怖い。絶望的。
Y。無邪気にはしゃぐ子供。わーいって。
Z。女忍者。くの一。もしくは女スパイ。
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ハサミ男にはさまれた。
え?何?
いや、だから、はさまれたの。
何に?
……いや、うん。ただのチョッキンガー、チョッキンガーだよ。
チョッキンガー?
そう。よくいるじゃん。地下鉄とか。
ん?ああ、ああ。チョッキンガーね。まあ、いるね。はさまれたの?
みごとに。
みごとに?
靴履いてるでしょ。
チョッキンガー?
そう。
履いてたっけ?
履いてるよ。チョッキンガーだもの。
あそうか。チョッキンガーだもんな。青だっけ?
青だね。でもあいつ、履いてないんだよな……。
え?はさまれたやつ?
そう。
ふうん……そっか。地下鉄だっけ?
いや、部屋。姉貴の。
ええッ!?うそ、部屋にいたの?
……いた。
マジで?怖いなぁ。大丈夫だった?
うん。まあ。はさまれたけど。
あでも、部屋だから脱いでたんでしょ?靴。礼儀正しくない?
けど挨拶とかなしで、いきなりだよ?……やばいよ。
あ、ああ。そうなんだ……。
……最悪。
まあねぇ。でもあんまり気にしない方がいいって。事故でしょ事故。
……。
……。
……。
……痛かった?
……少し。
……そっか。でもま、どうせチョッキンガーでしょ?
……。
なになに、どうしたの?ヘーキだって、そんなの。よくあることじゃん。
よくないよッ!
え?
チョッキンガーだよ?靴履いてないんだよ?
え、でも……。
そんなの、よくあってたまるかッ。
なんだよ、何怒ってんの?だいたいチョッキンガーって……。
いるんだよッ!この間から家にさあ、風呂とか普通に入るんだから。
風呂入るの?
一番風呂。親父より先に入るし、ご飯はおかわりするし。
そ、それは……。
この前、誕生日だったんだ。
え、何?
ケーキ食ってた。ロウソク吹き消してさ。もう家族の一員気取り。
え?え?チョッキンガー?
信じらんないよ。クラッカー鳴らしたり、クリスマスじゃねーッつーの。
そりゃ、すごいな……。
しかも妹とか、すごいなついちゃってるし。遊んでもらえるから。
へえ。退治しないんだ。
見え見えなんだよ。気に入られようって魂胆がさぁ。ホント腹立つ。
まあ、それはなぁ。
昨日だってこれ見よがしに仕事の話なんか始めてさ、姉貴も……
仕事してるの?チョッキンガー?
そりゃしてるよ。じゃなきゃ見合い話なんて来ないでしょ。
見合い話?
そう。でもさ、この前見ちゃったんだよね。若い女と一緒にいるとこ。
マジで?
家族の前じゃ大人しいけど、あいつ、絶対ろくな奴じゃないね。
まあ、チョッキンガーだしね。
はさまれたし。
よくはさむ?
よくってことはないけど、でも、たぶん誰も見てないところではさんでるよ。
そっか。でもさ、親父さんとかは、あんまりはさまないんでしょう?
まあ、それはさすがにね。
お姉さんは、はさまれるの気にならないとか?
それはそうだろうね。じゃじゃ馬だから。
だったら、そんなに意地張ってても仕方ないんじゃない?
わかってるよ、そんなの。いいんだ、どうせ子供だから。
まあまあ、そんなに嫌うことないって。チョッキンガーだっていろいろだよ?
だけど、これから長い付き合いになると思うと耐えられないよ。
いや、だからこそだね。今からはさまれておいた方が絶対良いと思う。
実際問題としてはね。……でもなぁ。
いい加減あきらめなって。一回はさまれたら二回も三回も同じでしょ。
そうかな。
そうだって。いいじゃんチョッキンガー。最高だよ。
マジでそう思う?
うん。はさまれたいくらい。
そっか。じゃ、いっそはさんじゃおうかな。
何?
だからはさむの。
……はさめる?
いけると思う。
なるほどねぇ。
どう?
いいよ、それ凄くいいと思う。
よし。じゃあ、それでいきますか。
うん。リッパリッパ。で、どうする?
何が?
オチ。
ああ。
ないね。
ないか。
───続く─── というのは?
どうだろう。でも、まあいいか。
チョッキンガーだし。


ダメだと思う。
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理想と現実とレシート
人と人の心と心が通じ合う、
言葉を交わさずして意思の疎通が図れる、
そんな素敵な事ってあるのでしょうか。

そんなこと、流行りの歌やテレビドラマだけに存在するものだと、
現実には単なる理想、幻想、あるいは勘違いや思い込みの類であって、
それはたとえ何十年も連れ添った仲睦まじき夫婦であっても、
苦楽をともにしてきた何十年来の友人であっても、
ありえないこととしか思えてなりません。

虫が良すぎると思うのです。
「私は絶対、彼と心が通じ合っている」
「アイツの目を見ただけで、アイツが何を考えているのかわかる」
などと言っている人。
そんな人に限って、
アイツは考えることが単純だから、と見くだしていたり、
あの人の本心は知りたいけれど、自分の本心は絶対に知られたくない、
などと思っていたりするものです。

仲が良くたってそうなのですから、
いえ、仲が良いから尚更、そうなのかもしれませんが、
とにかく、人と通じ合うなどということは、通常の人間関係では
発生し得ないものであるといえる、と、そう考えます。

そもそも、通じ合いたいのですか?
通じ合うことに意味はあるのですか?
それによって発生するメリット、デメリットは考えていますか?
冒頭の問いかけに矛盾しますが、
人と人の心と心が通じ合うことが素敵な事だと、
誰が決めたのでしょう。

相手が何を思い、考え、行動しているのか。
それがわからないからこそ、コミュニケーションというものが
成立するのだし、わかってしまったら、その人間関係はその場で
破綻してしまうでしょう。
そもそも、相手の考えがわかるということは、
すなわち自分の考えていることが、相手にそのまま伝わってしまう
ということでもあるのですから。考えてみなくてもわかります。

だから最近の歌やドラマが大嫌いです。自分たちが信じてもいない
まがいものの思想や理想を押し付け、いいことをした気分になっている人たちが
大嫌いです。

もちろん、もっとも問題なのは、
そういった押し付けを無条件で受け入れ、無思考で信仰してしまう
一般大衆なのですが・・・。

さて、昨日までのLは、そう考えていました。
しかし、今日からのLは、違います。

人は言葉を交わさなくても、
相手の気持ちがわかる。
自分の気持ちを相手に伝えることができる。
気持ちをひとつにすることができる。

その日の朝の出来事が、Lの考えを大きく変えたのです。

Lはプログラマです。
プログラマといっても、彼はチームリーダであり、ソースコードよりも
設計書や仕様書を書いている時間のほうが長く、少々物足りない日々を
送っているのですが・・・、
あまり関係ない話なので割愛しましょう。

毎朝、彼はかならずコンビニに寄り、その日の昼食やガム、飲み物などを
買います。
その日、たまたま、なんとなく、上記のメニューに加えて
チョコレートを手に取りました。
そしてレジへ。
レジを打つのは、毎朝決まったパートのおばちゃんです。
もはや顔なじみですが、おばちゃんはいつも機嫌悪そうに黙々と仕事を
こなす人です。レジで必要な以外の会話を交わしたことはありません。
そのおばちゃんが、すべての商品をバーコードに読み込ませます。
するとどうでしょう――――――――――

「ちょ、ちょうど1000円になります」


ちょうど1000円!

空は朝からどんよりと曇り、風は冷たく、
おまけにLは低血圧で、その上今朝は寝坊して朝食も取っていませんでした。
そんな、ここ最近笑顔のなかった彼の口元が、僅かに歪みました。
ちょうど1000円。なんてすばらしい響きなのでしょう。こんな事はめったに
お目にかかれるものではありません。
1000円札一枚で多すぎず、足りないこともない、
ぴったりの買い物ができたわけです。
まさに奇跡。いえ、神の気まぐれか、それともご褒美?
ほんとうは、もっと喜びを表現したい。大きくこぶしを握り締め、天に向かって
突き上げたい。記念撮影をしたい。
この場に妻か友人か、会社の同僚でもいれば、この奇跡を共有し、分かち合い、
ともに今日一日、とてもハッピーな気分でいられたのに。
それを思うと、少し残念なLでした。

でも、嬉しいことに変わりはありません。
この後会社に行ったら、今の出来事を同僚のあいつに話そう。
家に帰ったら、妻にこの証拠のレシートを見せよう。
そう考えていた彼なのですが、
ふとレジを担当していたパートのおばちゃんを見たところ、

Lに向かって目配せして、小さくガッツポーズしているではありませんか。

その瞬間、Lの脳内に、そのパートのおばちゃんの思考が
流れ込んできました。

「やったわねアンタ。私ゃこのコンビ二で2年ほどレジ打ってきたけど、
1000円ピッタシってのはアンタが初めてだよ。777円とかってのは何度かあるけどね。
それにしても、あんまりびっくりしたから、ちょっと噛んじゃったじゃないか。
何気なくサラッと『ちょうど1000円です』って言いたかったのにさ。
私ゃ無愛想だからコンビニの仕事なんてやりたくなかったけど、やってみるもんだねえ。
おかげでいいもん見せてもらったよ。さっさと子ども学校に行かせて、
毎朝この時間にシフト入れ続けてきてほんとうに良かったとおもうんだ」

実際に声が聞こえたわけではありません。彼女の表情が、そう言っているのです。
Lにはわかるのです。
Lはすかさず、おばちゃんに目配せしてメッセージを送り返しました。
もはやテレパシー、以心伝心状態です。

「おばちゃん。俺、おばちゃんの名前知らないけどさ、毎朝俺のために
レジ打ってくれてありがとう。感謝してる。・・・ほら、面と向かってこういう
こと、なかなかいえないだろ?でもテレパシーでなら何でもいえる気がするよ。
今はとても素直に喜べるし、この気持ちをおばちゃんと分かり合えて、最高に
幸せな気分だよ」

「何言ってんだい。いまさらそんなこというんじゃないよ。照れくさいじゃない
か。ほんとうは私もね、アンタと手と取ってはしゃぎまわりたい気分さ。でもあ
いにく仕事中。できることならおにぎりのひとつでもサービスしてやりたいけど
ね、それもかなわないね。そうだアンタ、このレシートをコピー取っときなよ。
一生の記念になるよ」

「おばちゃん。俺ももう大人だよ。この1000円のレシート、
たしかにうれしいけどさ、コンビニでこんなものコピーしてたらおかしいよ。
・・・でも安心してくれ。コピーは会社で取る。
一介の客ごときに、気遣ってくれてありがとう」

「そうかい。会社なら取り放題だね。さあさ、祭りは終わりだ。私は仕事中。
アンタはこれから仕事に行かなきゃならない。今日は朝からいい体験をしたよ。
今日一日、がんばって仕事しなさいな」

「ああ。おばちゃんも体に気をつけてくれ。無理するなよ。
じゃあ、また明日からもレジ、頼む」

そうテレパシーを送りながら、Lは1000円のレシートを、大事に財布に入れました。

「お次のお客様、どうぞ」
というおばちゃんの声が聞こえます。
レジが終われば、もはやLは客ではありません。
彼は追い出されるようにコンビニを出ました。
おばちゃんとの別れに、少しだけさびしい気持ちになりながらも、Lの心は
いつのまにか晴れ晴れとしていました。
1000円のレシート一枚に、こんな効果があるなんて。
見上げれば、外はまだ曇り空ですが、なぜか今日は晴れる気がしてきた、
Lでした。
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トゲゾーについて考える
トゲゾーについて考える。

トゲゾーといえば、スーパーマリオブラザーズシリーズに出現するお馴染みの敵キャラクターで、甲羅にトゲを持つ亀の一種であるが、その生態についてはあまりよく知られていない。
多少知識のある者でも、せいぜいが、
「甲羅にトゲがあるので踏みつけることができない」
「踏みつけるとトゲが刺さって逆にダメージを受ける」
「トゲゾーの卵はパイポと呼ばれる」
といった程度の認識であろう。
なるほど、名は体を表すとはよく言ったもので、確かにトゲゾーの一番の特徴はその甲羅に生えた見事なトゲだ。トゲがなければただの亀である。しかも、これが二足歩行もできなければ靴も履いていない亀だから、ただの亀といっても、トゲのないトゲゾーなどは羽を失ったパタパタにも劣る。
トゲゾーはトゲあってこそのトゲゾーだ。
しかし、トゲゾーを単純にトゲだけの存在と決めつけてしまって良いものか。
──否。私にはとてもそうは思えない。
甲羅にトゲが生えているから「トゲゾー」というのでは、あまりにお粗末な生き物であるし、もし「トゲがあるからトゲゾー」とするなら、パタパタは「ハネがあるからハネゾー」でなければならぬ。よしんばハネゾーを否、パタパタを是としたところで、トゲゾーは「トゲトゲ」であるべきだろう。いや、あるべきだ。
いずれにせよ、お粗末な生き物ではある。
今日はそんなトゲゾーにスポットを当てて、その知られざる一生に思いを巡らせてみようと思う。

すでによく知られた事実だが、トゲゾーは亀の仲間である。ミドリガメ、クサガメ、イシガメ、スッポン、ノコノコ、メット、クッパ、コクッパなどの仲間だ。
亀は爬虫類であるから、一般に地上生活に適した体制を持ち、変温性で、空気を呼吸し、卵生である。卵生とはすなわち、卵の形のままで母体外に産み出され、体外で発育して孵るもののことである。トゲゾーとて例外ではない。
トゲゾーの卵はパイポと呼ばれる。これは殻の表面にトゲを生やした特異な形状をしており、一見すると卵には見えないが、逆に卵だとわかってしまえば、もうトゲゾー以外の生物の卵には見えない。パイポには赤いものと緑のものとがあり、赤は受精卵、緑は未受精卵である。
パイポはジュゲムという別の生き物によって様々な土地に運ばれ、地上数十メートルの高さから次々に投下される。半ば強制的にではあるが、このとき、地面に叩きつけられた強い衝撃によってトゲゾーの孵化が促されるのである。

今、一匹のジュゲムが悠然と大空を移動している。
大気は澄みわたり、太陽は限りなく眩しいが、見下ろす大地には荒涼たるキノコの原野が広がっている。
ロシナンテに跨ったドン・キホーテよろしく、笑顔を絶やさぬ雲に乗っかって気儘な空中遊泳を楽しんでいたジュゲムは、ふと何処からか発せられた甲高い鳴き声を聞きつけて、ピクリとその小さな耳を動かした。
風に揺れるキノコ。宙吊りにされたリフト。
何か、ただならぬ気配……。
雲からほんの僅かに頭を覗かせ、きょろきょろと様子を窺うジュゲム。
目を凝らしてみると、地平線の遥か彼方から、こちらに向かって凄い勢いで疾走してくる小型の生き物がいた。
大きな団子っ鼻にピンと反り返った見事なヒゲ。
──オスのマリオである。
おそらく群れからはぐれてしまったのだろう。そのマリオは「ヒァウィゴー」「ヤッフゥー」「マンマミ〜ァ」などと、仲間を探し求めるように悲しげな声を発しつつ、次々にキノコの笠を飛び移って、むやみやたらに跳ね回っている。
「ヒァウィゴー……」
しかし、付近に仲間のマリオは見当たらない。見ればまだ躯の小さいマリオで、子供ではないのだが、どうやらまだキノコを食べていないらしい。
思わぬ場所で大好物を発見したジュゲムは、勢いよく雲から頭を突き出すと、まっしぐらにマリオのいる場所を目指して雲を駆った。その動きは俊敏かつ滑らか。
すいすいと大空を渡る様は、さながら赤兎に跨った関羽の如しである。
登り詰めたキノコの上でコインブロックを見つけ、ぴょんぴょんと嬉しそうに跳ね続けているマリオは、未だ天敵の接近に気づいていない。
音もなくマリオの頭上に忍び寄ったジュゲムは、雲の中に腕を伸ばすと、そこからトゲの生えたボールのようなものを取り出し、それをおもむろにマリオに向けて放り投げた。
ポイポイポイ──と、ひとつ、ふたつ、みっつ。
それは大きく優雅な放物線を描いて次々とマリオの周囲に落下する。
着地と同時に、孵化。
──そう。
このトゲの生えたボールのようなもの。
これこそがまさにパイポと呼ばれるトゲゾーの卵なのである。

トゲゾーの一生はその始まりからして、すでに過酷だ。
先にも述べたが、ジュゲムはトゲゾーとは別の種類の生き物であって、トゲゾーの親でもなければ兄弟でもない。鳥類の中にはカッコーのように、自分とは別の種類の鳥の巣に卵を産みつけ、巣の持ち主に自分の雛を育てさせる「託卵」という習性を持つものもあるが、トゲゾーは爬虫類であり、亀の仲間であるから、トゲゾーとジュゲムの関係は、カッコーとオオヨシキリのそれとは完全に異なる。
どちらかといえば花粉と昆虫の関係に近いのだろう。が、ジュゲムはパイポを狩りの道具に利用するという点が非常に風変わりであり、大変に興味深い。
ジュゲムには拾ってきたパイポを雲の中に大量に蓄えておく習性がある。今ご覧頂いた通り、これを爆弾のように投げつけることで、大好物のマリオを仕留めるのだ。
トゲゾーにしてみれば良い迷惑である。しかし、この厳しい野性の洗礼を受けずして、トゲゾーの誕生はあり得ない。

さて、先ほどジュゲムによって放り投げられたパイポから、たった今、一匹のトゲゾーが生まれた。この生まれたばかりのトゲゾーをジョアンと名付けよう。右の前肢がやや短いのが特徴の、愛くるしいオスのトゲゾーだ。
地面に激突した衝撃によって孵化したジョアンは、初めて目にする外の世界に戸惑った様子もなく、すでにトゲの生え揃った頑丈な甲羅から、にょきっと頭と手足を伸ばし出すと、すっくと短い四つ足で立ち上がり、産声のひとつも上げないまま、いきなり、かなりの速度で歩き始めた。
亀のよちよち歩き、というのではない。
まだ生まれたばかりだというのに、その刺々しい姿は年長のトゲゾーと少しも変わらず、その表情からは些かの感情も読み取れない。冷血──という言葉さえ自然に連想させるほど頑なな無表情、研ぎ澄まされた野性の形象。他のトゲゾーにしても、これは変わらない。
キノコの地面を踏みしだき、ジョアンは真っ直ぐにマリオを目指して突き進む。
誰に教えられたわけでもないのに、生まれたばかりのウミガメの子供が海を目指して歩き出すのと同じように、生まれたばかりのトゲゾーはまず近くのマリオを目指すのである。幸い付近に障害物はなく、その歩みは順調だ。
と、そのとき。
不意にジョアンの頭上を黒い物体が掠めた。
──危ない!
しかし、間一髪のところで直撃を交わすジョアン。見るとそれはパイポで、パイポが続々と上空から降り注いでくるではないか。地面にぶつかったパイポからは次々と新たなトゲゾーが孵化している。
執拗にマリオを追い回すジュゲムが見境なしにパイポを放り投げているのだ。
気がつけば、地上はすっかりトゲゾーだらけになっていた。もちろんジュゲムの標的はマリオなのだが、だからといって地面を這い回るトゲゾーたちに気を遣ってくれるような優しいジュゲムではない。ジュゲムは親ではないし、トゲゾーを仲間とも認識していないのだ。地上にいる限り、危険はどこまでも付きまとう。
如何に頑丈な甲羅を持つジョアンといえども、遥か上空から高速で投下されるパイポの直撃を食らえば、甲羅が砕けてひとたまりもかっただろう。
もし突然の攻撃に驚いて歩みを止めていたら……。
ほっと胸をなで下ろすジョアン。しかし、ジュゲムは攻撃の手を緩めない。地上はまさに空爆を受ける戦地さながら。加えて一箇所にあまりにも多くのトゲゾーが密集したため、全体的に動きが鈍くなっている。マリオの滞空時間も異様に長い。
しかし、ジョアンには関係なかった。今のジョアンはマリオを目指してただひたすらに前進あるのみである。マリオと接触してどうしたいのか、どうなるのか、実はジョアンにもよくわかっていない。
生まれたばかりだから、というのではなく、どれほど歳を重ねたトゲゾーにもそれはわからないのだろう。それがわかるのは、おそらく──。
本能に刻まれた己の目的を達成したときのみ。

それからしばらくジョアンが前進を続けていると、窮地に陥ったマリオが不意に思い切った行動に出た。ぴょんぴょんとキノコの笠を渡り歩いてより高い位置へと移動していく。どうやらこのマリオ、果敢にも事態の元凶であるジュゲムを追い払おうと決めたらしい。
マリオはただ逃げ回るだけの弱い生き物ではない。マリオの中でも小型のマリオは特別な攻撃手段を持たず、耐久力も極めて低いが、その跳躍力には目を瞠るものがある。気性も荒い。詳しいことはわかっていないが、時には自分の躯の数倍はあろうかという大きなクッパを打ち負かすこともあるというのだから、侮れない。
高みに登り詰めたマリオは、「ヒァウィゴー」と雄叫びを上げて加速、勢いよく向こうの大地にジャンプした。
しつこく追い縋るジュゲム。
しかし、ジョアンには関係がなかった。
高低差を利用されてはもう手の出しようがない。
あのマリオはもう諦めるしかないだろう。
ジョアンを含む大量のトゲゾーたちは下段のステージに取り残された。
今、その目の前に切り立った深い崖が迫っている……。

季節は巡って──春。
トゲゾーたちにとっては恋の季節がやって来た。王国のあちこちで独り身のオスのトゲゾーたちが、数の少ないメスを巡って激しくトゲを突き合わせている。
一方、キノコの原野の片隅、地面に置かれたブロックとブロックの僅かな隙間に、一匹のオスのトゲゾーが挟まっていた。どうしてもその隙間から抜け出すことができず、ウロウロと忙しなく身体の向きを変えている。
このトゲゾー、よく見れば右の前肢がいくらか短い。
──ジョアンである。
いったいどうしてそんな所に挟まってしまったのか。
カップルになった他のトゲゾーたちが、せっせと巣作りに励むさなか、隙間に挟まったジョアンは一人寂しく藻掻いている。
藻掻いても藻掻いても、狭い隙間から抜け出せない。
壁にぶつかり、壁にぶつかり、あまりに激しく方向を転じるので、残像で姿がおかしな具合になっている。もう、どちらが頭なのかわからない。
──と、そんなジョアンを嘲笑うかのように、そのブロックの上をBダッシュで駆け抜けていった小型の生き物がある。
大きな団子っ鼻にピンと反り返った見事なヒゲ。
ルイージ──マリオによく似た容姿を持ちながら、立場上、諸事情あって、今は希少とされているマリオの亜種である。
しかし、ジョアンはルイージの存在に気づくことがなかった。
ルイージの方でもまた、ジョアンの存在に気づくことはなかった。
トゲゾーはそのトゲ故に、小型のマリオ、ルイージに対しては無敵である。
うっかり触れようものなら、マリオもルイージも即死である。
けれどそれが災いしてか、トゲゾーは無視されることがほとんどなのだ。
この隙間に挟まって早半年。
もうどれだけのマリオをやり過ごしたことか──。

──冬。
ジョアンには最期の時が迫っていた。
結局、ジョアンはあの狭いブロックの隙間から抜け出すことができなかった。
最近になってわかってきたことだが、実は子孫を残すことのできるトゲゾーというのは極めて稀な存在なのである。多くの場合が孵化後間もなく転落死するか溺死するかしてしまい、どうにか生き延びた者たちにしても、そのほとんどがジョアンと同じような運命を辿ることになる。
谷底に落ちるか、海に落ちるか、ブロックの隙間に挟まるか……。
実際、今ジョアンのいるブロックの隙間にも、かなりの数のトゲゾーが挟まっている。一見しただけでは分かり難いが、優に二十匹はいるだろう。
重なっているのだ。
その証拠に動きが鈍い。

今、死にゆくジョアンの遥か頭上を、年老いた一匹のジュゲムが通り越していった。
パイポだった頃、ジョアンを放り投げたあのジュゲムだ。
ジュゲムは何処からかパイポを見つけて拾ってくる。
その雲の中には、きっと大量のパイポが詰まっている。
パイポ。新しい命。新しいトゲゾーの卵たち。
いつの日か──。
ジュゲムがマリオかルイージを見つけたとき。
そこでジョアンの分身が生まれるに違いない。
パイポとジュゲムとマリオとルイージ。
ジョアンは甲羅の中に閉じ籠もり、ゆっくりとまぶたを閉じていった。
こうしてトゲゾーたちは延々と次の生命を紡いでゆく。

いずれにせよ、お粗末な生き物ではある。
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ひからび
ひからび1

さて、無農薬。
ときたま虫入り。
交差点でじだんだ踏んでいるデビルマンを
なんとか角地の一軒家にご招待するため、バイオリンの弓で
歯を磨く、湖水地方のおたずねものウサギの物語
「嵐が丘のヒースクリフとだんだだん」

さて、カジュアル。
されど三日前の膨らんだ風船のエアーを
200個、逆吸いまくりに挑戦する豊島区のペンネーム、
「それって、お金ですむことでしょ」さんのリクエスト
「山姥の宿は火事だった」、フルコーラスでどうぞ!!!

そんでハインリヒ。
身長2mのAikoがラジオ体操、明かされた三番の謎。
グアテマラの整形美人さんのコメント
「あたしの顔は半端な借地権じゃ〜譲れない」
やはり端午の節句は三年物のドクターペッパーにかぎる。
血で血を洗う勢いの献血の勧誘ギャルのプリクラ一枚。

-やはり当行はクワセモノ-




ひからび2

力ずくで押し倒したら、ぬりかべだった。
当然、穴無し。

うめうめしながら町を歩いているスポーツ刈りのマルガリータ、
ところ狭しと掃除しまくる、ダスキン所属のお蝶婦人フリル健在。

「ぼくを食べて!!」叫んだばっかりに、アキレス腱を噛み千切られ
逆ギレしたアンパンマンとそのまにあわせヘッド250個。

「かかしと話すときは、目を見て話せ!!!」
畑を横切るたびに、こえだめ担当のよし子ちゃんに
激怒される24の瞳を持った三つ子のピン、チョン、ポン。

「こいつはうめ〜や、もうイッパイ!!!」と言いながら、
ドンブリごと頭からかぶり続け、汗だくのファイトイッパツ二人組み。

「イヤになっても離れられないのは、
 スキな人のイヤなところだからですね〜〜」と
キライなヤツに言われた時のパイレーツ並みの脱力感とはばかり。

「知らない人に付いて行っちゃ〜だめよ〜〜」と
説教する知らないオジちゃんに
もう3kmも付いてこられ、人生5年4ヶ月最大の窮地に
たたされている鶴巻幼稚園花組、ムハメッド銀次郎くんの
あしたはどっちだ〜!!

-王様の耳はローソンで〜〜と叫んだ花菱アチャ子-




ひからび3

「本日はご来場くださいまして、誠に感謝感激雨あられでございます。
ここまでたどり着けたのは、ひとえに皆様方の応援、ご加護、
愛情の賜物でござい・・・・ウ・・・(感泣)」
と駅のホームの長椅子に、部活で疲れきってウトウトレム睡眠中の
女子高生みどりちゃんの耳元でスピーチし続ける、
自称「ポーツマス宣言ラブ」の安田梅吉57歳、走る。

帰国子女のちあき嬢、ヒューグラント似のナイスガイを
実家に招いてディナーパーティー。
グラント君、ちあき嬢のママに感謝したく、
「年上の女性の一番の誉め言葉は(英)」とちあき嬢に質問。
こそこそ教わり、2回暗唱、満身の笑みでママにむかい、
「ナント ステキナ トシマノワカズクリ デスネ〜〜〜」とラブコール!!
ちあき嬢のコメント
「凍りついたママって、だ〜い好き!!!!」

一度でいいから「きみは包囲されている、無駄な抵抗はやめて出てきなさい。」
といわれてみたい二週間連続で黒衣装のうさぎさん。
今日もPM:6:00から銀座のマツキヨの前で無駄な抵抗の練習。
チーム「無駄な抵抗をなくしてリサイクル」のリーダーで指名手配中。

誰が読んでも感動、感激するとこがない名作、
「アンネの絵日記(みかん汁あぶり出し編)」

「今日も一日頑張ったな〜〜!!」が朝、目覚めた時口癖の営業一課、
地肌が桜肉の信一郎さん。玄関で「それじゃ〜、行ってきたよ〜!!」

家族全員、萎えっぱなし。

-タバスコで洗顔、コパトーン一気飲み-




ひからび4

「そんな人の足を引っ張るの、やめてくんない??!!!!」
由比ガ浜の自縛霊に海中へ引きずり込まれたのを、
弟の水子霊、仙太郎のせいにする鬼畜姉御霊、桜子。
あの世でも姉弟、かわらず。


「畜生、覚えてやがれ!!!!」
悔しそうに逃げ去る兵隊ヤクザ。
三日後に道の向こうから笑顔で手を振り、「覚えてた???」
しかし「えっ???」と言われ、かなりのショックでひきこもり、
生活保護を拒否して餓死を選んだ自称「伊集院健太マラビンゴ」。


やさしい人柄が評判の、餃子の皮専門店の周さん。
しかし誰もが気になる店の前の白地に赤ペンキのなぶり書き。
「具の話、お断り!!!!」


「君の悪いところは議論好き過ぎるとこだね。」
と言われ、「そんな事はないでしょう、それについてはですね〜〜」
と議論を始めるロングヘア〜が売りのミスターひろしJr。


駅のホームで、うっかり財布を線路に落としてしまったら、
ドロ〜〜ン!!と神様が現れ、
「あなたの落としたのは、このたまごっちですか、
            それともこのマハラジャの扇ですか?」
「ちがうんですけど・・・」と言ったとたん、
「いい訳はキライ!!!」の声、黒い影に背中をドン!と押され、
気がついたら、隣にヘッセが立っていた。
「君のおかげで新作が書けたよ、題名{電車の下}

〜夢にまで見たアスファルトで作る目玉焼き〜
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こどもでんわ相談室

今日の先生:木場修太郎(職業:警察官)


Q.光はどれくらい早いんですか?
A.まあこの俺よりは速ェがな。

Q.なぜ秋になると葉っぱが赤くなるんですか?
A.黒とか白じゃあ妙な具合だろうが。

Q.水の中で息が出来なくなるのはなぜですか。
A.煩瑣ェよ。お魚さんにでも聞いてみろよ。

Q.今の最新のアポロは、アポロ何号ですか?
A.酒なら何合でもいけるな。

Q.人は死んだらどうなるのですか。
A.死んでみりゃいいだろうよ。

Q.好きな人ができました。どうすればいいでしょうか。
A.俺に訊いてどうしようってんだこのタコ。

Q.僕も木場さんのような警察官になりたいのですが、どうすればよいのでしょうか。
A.お前ェさんは一生なれねェよ。おまんま食ってとっとと寝ろ。

Q.この世に不思議な事など何もないのでしょうか。
A.ああん?知るかこの野郎。

Q.友達はいますか?
A.大馬鹿と書痴と鬱病しかいねェ。

Q.やはり悪は許せないですか?
A.眠ィなオイ。
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